日本冬虫夏草とは

冬虫夏草と日本冬虫夏草

日本でいう「冬虫夏草」とは種類毎に特定の昆虫に寄生して子実体(キノコ)を形成する虫草菌類の総称です。
虫草菌類は日本に生息する種類だけでも350以上にも及び、寄生した昆虫の虫体成分を栄養源に子実体を形成する性質から、虫草菌の種類によって服用時の効能が異なります。

一方で、中国でいう「冬虫夏草」とは主にチベットに生息しておりコウモリガの幼虫に寄生して子実体を形成する天然のOphiocordyceps sinensis(オフィオコルディセプス・シネンシス)という虫草菌類に限っており、日本と中国では冬虫夏草の意味合いが異なります。
中国では古くから冬虫夏草を様々な症状に効く薬膳として重宝され近年でも健康食品として注目を集めており、市場価格の上昇と共に乱獲が行われた結果、現在では金の数倍もの価格で売買されるほど貴重なものになっています。

「日本冬虫夏草」とは日本に生息する虫草菌類の総称であり、日本冬虫夏草の研究機関である自然薬食微生物研究所によって癌、認知症、自己免疫疾患など複数の難治疾患に対する改善作用が示唆され、現在でも大学や医療機関等と共同研究が進められています。

コブアブタケ
ツクツクホウシタケ
ベニイロクチキイモムシタケ

日本冬虫夏草で期待できる効能について

宮城県仙台市にある自然薬食微生物は世界的に見てもまだ数の少ない冬虫夏草の研究機関であり、昭和42年(1967年)から日本冬虫夏草の研究を続けています。 この長年の研究によって一部の日本冬虫夏草二次代謝産物に「細胞の酸化を防ぎ細胞のがん化を阻害するフラボノイド・テルペノイドやメラトニン」「がん細胞の活動を抑制するコルジセピン」「免疫抑制作用により自己免疫疾患の治療薬にもなっているミリオシン」などのがん治療において有益だと考えられる成分を含んでいることを明らかにしました。
下記にこれまでの研究と臨床報告によって改善が見られた症状の一部を掲載しますのでご覧下さい。

  • 抗酸化物質による細胞のがん化防止作用
  • 人のDNAの持つ遺伝情報は体が正常に動き続けていくために常に維持されようとしていますが、放射線や紫外線、化学物質の影響、代謝時に産生される活性酸素など、常に損傷する要因に関わり続けています。
    このような損傷を与える原因によってDNAの持つ遺伝情報が傷付くと細胞が突然変異を起こし急激な細胞の老化やがん化の原因になります。
    日本冬虫夏草には適度な抗酸化作用が見込めるメラトニンやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれており、飲用することで老化の防止やがんの予防作用などが期待できます。
  • 抗癌剤の副作用軽減作用
  • 日本冬虫夏草は集学的医療としての適正が高く病院治療と併用した際に相乗効果が見込めます。
    抗がん剤や放射線治療、手術前に日本冬虫夏草二次代謝産物エキスを適量飲用することで病院治療の副作用として現れやすい骨髄抑制、鬱の症状、食欲不振などの軽減や改善して治癒を早める作用が期待できます。
  • がんを原因とした貧血の改善や感染症の予防作用
  • 血液の赤血球・白血球は骨髄細胞によって作られています。 赤血球は肺から得た酸素を取り込み血液循環によって全身の細胞へ酸素を供給すると共に、二酸化炭素の排出する役割を持っており、白血球は体に入った細菌やウィルスを取り込むことで除去する役割を持っています。 抗がん剤や放射腺治療は副作用によって血球数の減少を起こす原因となり、血球数の減少は患者が感染症や貧血の原因になります。
    日本冬虫夏草の1種であるハナサナギタケには、腎臓で産生される造血ホルモンで赤血球の増加作用があるエリスロポエチン(EPO)の産生を促進する作用を持つ成分が含まれており、飲用することで血球量を増加させる作用が期待できます。
  • 癌細胞の増殖阻害効果
  • 2013年に太田富久及び高野文秀、矢萩信夫らは『科学研究費助成事業研究成果報告書』にて日本冬虫夏草の解析結果を発表しました。 この解析では日本冬虫夏草に含まれる独自のペプチドが免疫機能を選択的(Th1優位)に増強してIL-2、IFN-γ、TNFαなどの腫瘍壊死因子の産生を促進する作用を持ち、癌細胞の増殖を阻害する働きが期待できる消化管免疫調節物質であることを明らかにしました。

    日本冬虫夏草の主な抗腫瘍効果

  • T細胞依存型抗原の増強
  • 免疫細胞の選択的増強
  • 抗癌剤の持つ抗腫瘍性効果増強
  • 改善が期待できる癌悪液質が原因となる症状

  • 疼痛
  • 炎症
  • 体重減少
  • うつ
  • 腹水
  • 胸水
  • 低タンパク
  • 炎症
  • 低血糖
  • 食欲不振
  • その他、効果が期待できる症状など

  • 外因的肥満の予防効果
  • アルツハイマー型認知症の進行遅延、改善効果
  • 老化進行の予防効果
  • 日本冬虫夏草の主な成分

    ◆エルゴステロール・パーオキサイド

  • エルゴステロール・パーオキサイドは1983年に東北大学薬学部の助教授である近藤喜和がサナギタケから単離した成分で後にハナサナギタケからも単離されました。
    エルゴステロールはビタミンDの前駆物質でステロールの一種の酢酸物質でがん細胞の血管新生を阻害する作用が報告されており、がんを細胞死へと誘導することで抑制する効果が報告されています。
    ※単離:ある種の混合物から特定の成分だけを取りだす事
  • ◆エルゴステロール誘導体

  • 1997年に東北大学院生の小坂良氏によってハナサナギタケより単離。
    この誘導体はエルゴステロールを母体とした化合物で、ヒト由来の肺がん、子宮頸がん、舌がんなどに対するアポトーシス誘導作用の報告がされています。
  • ◆βカルボリン

  • 1997年ハナサナギタケより単離。
    βカルボリンにはモノアミン酸化酵素阻害作用によって神経伝達物質の分解を抑える働きがあり、抗うつ薬や抗パーキンソン病薬などにも用いられている成分です。
  • ◆シクロL・トロイシルL・プロリン

  • 1997年ハナサナギタケより単離。
    モルヒネ依存症を軽減する。
  • ◆コルジセピン

  • 金沢大学薬学部教授の太田富久先生がハナサナギタケより単離。
    別名3-デオキシアデノシンと呼ばれ、がん細胞の周辺にコルジセピンが存在することでがん細胞が複製を行う際に取り込むアデノシンの代わりにコルジセピンが取り込まれ、がん細胞の崩壊を促す働きがあります。
    コルジセピンは正常細胞が増殖する際には取り込まれないという結果もでており、がん細胞だけに絞った増殖の阻害作用が期待されています。
  • ◆メラトニン

  • メラトニンは脳内の松果体において生合成される睡眠と覚醒のリズムを整える働きを持つホルモンです。
    メラトニンは強力な抗酸化物質で細胞内の抗酸化酵素の活性を高めることで核DNAおよびミトコンドリアDNAを保護してがん細胞の増殖を抑制する働きが期待できます。
    また、脳細胞の酸化を防ぐことで痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病などの予防効果も期待されている成分です。

    メラトニンは一酸化窒素や過酸化脂質などがん発症の原因となる様々なフリーラジカルを消去できることも特徴で、メラトニンが5分の1程度しか体内で産生されない夜間勤務者の場合は、乳がんは2倍、前立腺がんは3倍程に発症数が増えるとアメリカの疫学調査で報告されています。
  • ◆ミリオシン

  • 1994年に京都大学薬学部教授の藤多哲郎らによってツクツクホウシタケから単離されました。
    ミリオシンは免疫機能を抑制する作用を有する化合物で臓器移植の拒絶反応の抑制やインフルエンザやC型肝炎ウイルスの予防や治療、自己免疫疾患の改善作用などが期待できる「FTY720」と呼ばれる治療薬にもなっています。
  • 日本冬虫夏草の抗腫瘍性効果

  • 体内に侵入した抗原を攻撃するヘルパーT細胞は抗原の種類に応じてTh1細胞とTh2細胞のどちらかに変化します。
    Th1細胞は細胞性免疫と呼ばれ「IFN-y(インターフェロンガンマ)」というサイトカインを分泌することでキラーT細胞やB細胞に指示をだしてウィルスや細菌などの抗原を攻撃します。
    Th2細胞は液性免疫と呼ばれダニや花粉などのアレルゲンに反応してアレルゲンを除去する「IgE抗体」を作るようにB細胞に指示を出す働きがあります。

    Th1とTh2はお互いの働きを抑制し合っていますが、日本冬虫夏草二次代謝産物に含まれる成分には消化管免疫応答によってTh1優位に免疫応答が活性化させる働きがあり、これによりサイトカインの産生が活発化すると感染予防、腸内健全化、およびアレルギー抑制などの作用や体内の生体防御能力の増強による抗腫瘍性の向上などが期待できます。

    また、Th1優位に免疫が増強されることで産生量されるIFN-yは白血球の1種で体内の変性物質や細菌を捕食して取り除く働きを持つマクロファージの活動を活性化させる働きがあり、日本冬虫夏草と抗がん剤を組み合わせて使用することでモルモットに対する延命率に平均で2.5倍の差が生じるという研究結果が『2004年日本薬学会第124回年会』で発表されています。
    (日本冬虫夏草の動物実験では制癌剤によって免疫応答を意図的に弱めた個体だけでなく、制癌剤を投与していない正常な個体にも免疫応答を選択的に増強させる作用が見られました。)

    更に、日本冬虫夏草の二次代謝産物には血管新生を促進させる働きを持つマトリックスプロテアーゼの活動を阻害する作用があり、がん細胞周辺の血管新生を阻害することで腫瘍への栄養や酸素の供給や血流に乗って起こる遠隔転移を防ぐ作用が期待できます。
  • 上記以外にも下記の抗腫瘍性効果なども見込め、日本冬虫夏草の二次代謝産物に含まれる成分を副作用が少ない抗癌剤開発のリード化合物として研究が進められています。
  • 各種皮膚障害の原因となる活性酸素を消去作用
  • 悪性腫瘍のような浸潤性増殖細胞の除去作用
  • 乳癌細胞に対する顕著な抗腫瘍活性
  • 抗がん剤による貧血と白血球数減少の改善効果
  • 骨髄機能障害の軽減