日本冬虫夏草研究の目的日本冬虫夏草研究の目的

日本冬虫夏草研究の目的

西洋・東洋を問わず、人類は自然界から有用な天然物を取り入れ種々の疾病の治療に利用してきた。その中でも薬用に供せられる天然由来のものには、動物、植物および鉱物性のものがあり、とりわけ植物は天然薬物として主要な位置を占める。植物に由来する天然薬物は、わが国の「漢方方剤」や中国の「中薬方剤」、世界で汎用される「民間薬」として利用されるほか、天然薬物中に含まれる有効成分を利用した医薬品の開発が盛んに行われている。

近年、生活環境の多様化とともに生活習慣病としての難治性の疾患が増加しはじめ、疾病構造も大きく変化した。特にわが国では未曾有の高齢化社会に突入して高齢者の免疫失調に起因する発ガン、自己免疫疾患、ならびに難治性疾患が急増し、医療と社会の両面から、治療対策の見直しが迫られ、これらに天然医薬品を適用しようとする動きが活発になってきた。

古来より伝承されてきた中葯、漢方薬、および民間薬といった東洋医学は、西洋医療が中心の医療現場にあっても重要な位置を占め、先端医療でもカバーできない難治性の疾患への応用、すなわち補完代替医療の分野やターミナルケアにおけるQOLの向上などに適用され、これらの重要性が高まりつつある。

一方で、民間伝承あるいは理論的伝統的治療方剤およびそれに付随する治療法には、有効成分や作用機序が明らかではない部分が多くあり、医療現場において患者に適用した場合に予期しない反応や有害事象が現れる可能性が懸念されることから、医療スタッフの中には、現場での東洋医学の適用を躊躇する場合もしばしばある。従って、このような天然医薬品について有効成分や作用機序について科学的なアプローチを行い(evidence-based medicine:EBM)、その有効性を明らかにすることは、疾病治療の選択肢を拡充する試みとして極めて重要な研究となる。

研究の目的は、一連の天然薬物について有効性を示す化学成分の探索とその薬理学的作用機序の解明を行っており、その研究の一環として薬用菌類の生理活性を調べている。