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日本冬虫夏草について

日本冬虫夏草インフォメーション

研究成果(学術論文/学会発表)。長年の研究成果の一部をご紹介いたします。

※ここに列記致しました学会発表及び論文掲載内容は全て当社関連の研究所及び大学の研究室にて行われた研究成果であり他社が販売している冬虫夏草とは全く関連はございません。ご注意下さい。特に今回の発表は「培養液(代謝産物)」を用いて行った実験結果です。

『ノムシタケ(Cordyceps)属菌の培養とその生理活性に関する研究』

2005(平17)3月29日〜31日・第125回日本薬学会(東京)
矢萩信夫(金沢大学薬学部天然物化学研究室)

【目的】子嚢胞子亜門、バッカクキン科に属するCordyceps属菌は、生きた昆虫の虫体成分を栄養源として生活する昆虫寄生菌である。本菌を代表する「冬虫夏草(Cordyceps sinensis)」は、滋養、強壮、老化防止を目的とした中薬、民間薬あるいは薬膳として珍重される。冬虫夏草を含めたCordyceps属菌の多くは、多彩な薬効を示すと考えられているが、自然では発生が希少なため絶対的な供給量が少ないなどの理由から、それらの薬理学的機能性や有効成分については明らかにされていない種も多い。そこで本研究では、野外から5種類のCordyceps属菌(ハナサナギタケPaecilomyces tenuipes、ツクツクボウシタケP. cicadae、サナギタケCordyceps militaris、マルミノアリタケC. formicarumおよびウスキサナギタケC. takaomontana)を採取し、これらについて安全かつ安定した資源供給および資源保護を目的とした人工培養に関する研究を行うとともに、大量培養が可能であった菌については、この培養代謝液を採取して特に免疫反応を中心とした薬理学的機能性を調べるとともにその有効成分についても調べた。

【本論】7月から8月にかけての山形県および秋田県内の広葉樹林帯でハナサナギタケ(寄主昆虫:スズメガの蛹)を採取し、本菌の子実体頭部から分生子を採取した。この分生胞子を、虫体成分を含まない傾斜寒天培地(5 mL)(寒天、植物由来グルテン、グルコース、乾燥酵母含有)に無菌的に接種し、自然光条件、18℃で密栓培養を行った。その結果、培養開始から約10日を経過したころより、斑点状の菌糸体コロニーが形成し(直径:5 mm)、これが培養経過時間とともに拡大して寒天培地上表面を完全に覆い、平均で30日前後から菌糸体表面から分生子柄が発生した。さらに培養を続けることにより、野外に発生するハナサナギタケと同じ形態をもった分生子柄束が発生した。成熟したハナサナギタケの分生子柄束が発生するには、約60 ̄90日の培養が必要であった。このことから、ハナサナギタケについては虫体成分を含まない培地であっても野外と同じ形態をもつ子実体を多量に発生させることが可能であった。

次に、ウスキサナギタケ(山形県内で採取)について、ハナサナギタケと同様の接種実験を行った。ウスキサナギタケは、ハナサナギタケとは異なり有性の子嚢性子座を形成する種である。ウスキサナギタケから子嚢果を採取して寒天培地上に接種すると、30日後には菌床が形成され、60日後には15本の子実体が発生した。子実体に形成された胞子について顕微鏡学的に調べたところ分生胞子であった。繰り返し実験を行っても子嚢胞子から形成されるのはすべて分生子柄であったので、接種箇所を虫体内の菌叢と柄に変更して行った。その結果、柄の部分を接種した場合にのみ子嚢殻性子座の子実体が発生した。子嚢殻性子座は、野外で見出されるウスキサナギタケと形態学的に同様のものであり、試験管内培養で発生した子実体はウスキサナギタケと同定された。なお、虫体の菌叢を接種した場合に発生する子実体は、すべて分生子柄束であった。ウスキサナギタケの柄を接種することで子嚢殻性子座を発生させるのに成功したことから、形態的特異性と再現性を調べるために他の有性子実体を形成するサナギタケ(秋田および青森県で採取)とマルミノアリタケ(徳島県で採取)について同様の接種実験を行った。その結果、両者のCordyceps属菌の柄を摂取した場合に20%以上の頻度で野外と同じ特徴をもった固有の子実体を形成させるのに成功した。さらに野外では希少菌であるマルミノアリタケについて、試験管内に発生する柄を新鮮培地に植継ぐことにより、継代が可能であることもわかった。虫体成分を用いない培地上で、野外と同じ子嚢殻性子座の子実体を形成させるのに成功した例は30年以上前にサナギタケとウスキサナギタケでの2例があるに過ぎないが、これらはいずれも再現性に乏しい報告であった。従って、有性の子実体の柄を摂取することで20%以上の頻度で子嚢殻性子座を再現性良くを多量に発生させることが可能となったことから、希少種を含めた保護やCordyceps属菌の薬用資源供給および薬効評価が可能となった。

次に、分生子柄束を形成する種で、わが国では滋養・強壮の民間薬であるハナサナギタケを上記の方法で多量に培養し、この培養代謝液について薬効を評価した。すなわち、ハナサナギタケを液体培地で2年間静置培養し、子実体を取り除いて得られた培養代謝液を凍結乾燥して粉末化し、これをマウスに経口投与して異種抗原(緬羊赤血球)に対する抗体産生細胞数を調べた。その結果、ハナサナギタケ培養代謝液粉末(PTCF)を7日間にわたって経口投与すると抗体産生数が顕著に増加した。さらに、PTCFは5-fluorouracilを静脈内投与して誘発する抗体産生細胞数の低下について、これを正常値まで回復させる効果が認められた。従って、PTCFには免疫賦活化および制癌剤による免疫不全を回復させる効果があることが明らかとなった。

次に、3種類の活性酸素種を用いてPTCFの活性酸素消去活性をESR法で調べた。その結果、PTCFは1 mg/mLの濃度で1,1-diphenyl 1-2-picrylhydrazyl (DPPH)radicalをほぼ完全に消去した。ハナサナギタケと併用して服用される民間薬のツリガネタケの熱水抽出エキス(FFE)の活性酸素消去活性を調べたところ、superoxide anion、hydroxylおよびDPPH radicalの発生を濃度依存的に抑制し、その効果はPTCFよりも強かった。さらにPTCFとFFEを1:6の割合で混合したエキスでは、これらの活性酸素消去活性が相加的に増強した。このようにPTCF単独では活性酸素消去能は弱いがFFEと併用することにより、FFEによる消去活性を強める効果があることが明らかとなった。従って、ハナサナギタケとツリガネタケには活性酸素消去活性、すなわち抗酸化活性があることが判明した。

PTCFはこれを経口投与することにより、マウスの全身の免疫応答である抗体産生細胞数が増加させるので、この効果は消化管免疫応答を介した間接的な免疫応答の活性化が関与しているのではないかと考え、PTCFの腸管免疫応答に及ぼす影響を調べた。PTCFを経口投与したマウスから消化管免疫応答の主要な誘導装置であるパイエル板のリンパ球系細胞を採取し、これが産生するIL-2、IFN-γ、IL-4、IL-5、GM-CSF、およびIL-10を測定した。その結果、PTCF投与マウスのパイエル板構成細胞ではIL-2、IFN-γ、GM-CSF、IL-10の産生が顕著に増加したが、IL-4およびIL-5の産生にはまったく影響を及ぼさなかった。このことからPTCFは、T helper 1(Th1)とT helper 2(Th2)によるサイトカイン産生の一部を選択的に制御して産生させる効果があることがわかった。そこで、Th1のサイトカイン(IL-2およびIFN-γ)産生を増加させるPTCF中の成分について探査を行った。その結果、PTCFのTh1サイトカイン産生の増強効果は透析されない画分(MW<7.8 kD)に移行した。そこで、PTCFを80% EtOHで沈殿して得た画分を強酸性陽イオン交換カラムに付して分画を行ったところ、1N pyridineで溶出する画分に活性が移行した。これをさらに中塩基性陰イオン交換カラムで分画を行った結果、0.3M NaClで溶出する画分にTh1サイトカイン産生を強く刺激する画分が得られた。この画分について多糖と蛋白の含量を測定したところ、それぞれ91%と7%であり、電気泳動の結果、35 kDにCBB-250で染色されるバンドが認められた。このことから、PTCFによるTh1サイトカイン産生誘導成分の一つはこれに含まれるglycoproteinである可能性が考えられた。なお、これらのサイトカイン産生はパイエル板構成細胞中のリンパ球ポピュレーションに影響を及ぼさずに発現することが、フローサイトメトリー法により明らかとなった。

ハナサナギタケと同じ分生子柄束を形成する種のツクツクボウシタケ(山形県内で採取)培養代謝液(PCCF)についても、パイエル板構成細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響を調べた。PCCFを経口投与はパイエル板構成細胞によるIFN-γ、GM-CSFおよびIL-10の産生を増加させるが、PTCFとは異なり、Con A刺激によるIL-2についてはこの産生を抑制した。従って、同じ分生子柄束を形成するCordyceps属菌であっても消化管免疫応答に及ぼす効果は種によって異なることが明らかとなった。なお、この相違はツクツクボウシタケに含まれるスフィンゴシン誘導体のmyriocinによってもたらされていることがわかった。

【結論】以上の研究成果から、野外では生きた昆虫を宿主とするCordyceps属菌のうち、有性の子実体を形成する種(ウスキサナギタケ、サナギタケ、マルミノアリタケ)と分生子柄束を形成する種(ハナサナギタケ、ツクツクボウシタケ)について虫体成分を含まない培地で、野外と同じ形態をもつ子実体を再現性よく、かつ多量に形成させる培養法を確立することができた。また、分生子柄束の子実体を発生させる種のハナサナギタケには、活性酸素消去する効果や全身および消化管免疫応答を活性化させる効果があることが判明した。消化管免疫応答についてはハナサナギタケ培養液中に含まれるglycoproteinがサイトカイン産生を調節するとともに、同じ分生子柄束を形成する種であるツクツクボウシタケとは効果が異なることも明らかとなり、種によって作り出される成分に相違があることも判明した。特に薬理学的な機能性において種々の活性が認められハナサナギタケについては、今後さらに詳細な成分の探査や薬理学的メカニズムを明らかになることにより、また他のCordyceps属菌についても種々の薬効評価を行うことにより、薬用あるいは機能性食品としての価値が高まると考えられる。

 以上の事から、IJCEはマクロファージを活性化することにより制癌薬5-FUとMMCの抗腫瘍作用を増強すること が明らかとなった。

(※以上はマウスでの実験結果であり、ヒトに対しても同じということではありません。)

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