がん(癌)部位別情報

◆肝がん(肝癌,肝臓癌,肝臓癌,肝細胞癌,肝内胆管癌)

肝臓がん(肝臓癌)は肝臓に発生するがんの総称であり、主に肝細胞がんと肝内胆管がんがあります。
ほとんどの場合は肝細胞がんになります。胆管がんには肝内胆管がんと肝外胆管がんがあり、通常胆管がんという場合には肝外胆管がんを指し、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。
一般に肝臓がんという場合には肝細胞がんを指します。

肝臓がん(肝臓癌)には肝臓を原発巣とする原発性肝がんと胃や大腸などのほかの臓器にできたがんが肝臓に転移した転移性肝臓がんがありますが、このうち転移性肝臓がんは原発性肝臓がんとは性質が異なり、治療法も異なってきます。

肝臓がん(肝臓癌)は年々増加傾向にあり、肝臓がんによる死亡者数は2015年頃まで増加し続けると予想されています。
肝臓がん(肝臓癌)のおよそ9割を占める肝細胞がんのうち約8割がC型肝炎、2割がB型肝炎が原因で発生しており、そのため肝臓がんを持っている患者さんの約7割近くはウィルス性肝炎のための肝硬変を合併しています。

ほとんどの肝細胞がんがB型肝炎やC型肝炎を原因としているため、B型肝炎、C型肝炎ウイルスに陽性の方は定期的な経過観察が必要であるといえます。

C型肝炎ウイルスに感染すると、1〜3ヶ月の潜伏期間の後に肝臓に急性の炎症(急性肝炎)が起こります。
その後慢性肝炎から肝硬変へと進行することが多く、肝硬変になった場合にはその後肝臓がん(肝臓癌)を発病する危険性が高まります。

肝硬変や肝臓がんに移行する際には多くの場合、血小板の数値が低くなります。
肝炎ウイルスのキャリアの方で健康診断などで血小板の数値が低くなりつつある方は注意が必要です。

肝臓がん(肝臓癌)は再発率が極めて高いがんであり、難治性の経過をたどることが多く5年生存率も肺がんや膵臓がん、胆道がんなどとともにかなり低い率に留まります。

したがって、B型肝炎やC型肝炎キャリアの方は肝臓をいたわるように生活習慣を変えたり、普段から免疫を強化することがとても重要になります。

肝細胞がんとは異なり、肝内胆管がんはウイルスとは関係がありません。

【肝臓がん(肝臓癌)の原因】

日本人に肝臓がんが増えている要因は肝炎ウイルスの感染者の増加が主因といえます。

肝炎ウイルスのうちB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルス、特にC型肝炎ウイルスに感染した人が肝臓がんになりやすく、肝臓がんを発病した患者さんのうち、これらのウイルスに感染している人は実に90%近くに達しています。

最新の全国調査(第11回全国原発性肝癌追跡調査報告、日本肝癌研究会)によると、肝臓がん患者の68.9%でHCV抗体が、17.8%でHBs抗原が陽性です。

アルコール性肝炎から肝硬変になった場合に肝臓がんが発症する率は低いとされていますが、日常的に酒量が多い人がウイルス性肝炎になり肝硬変になった場合には、かなり高い確率で肝臓がんが発生します。

したがって、肝炎ウイルスに感染しないことが肝臓がん予防にはとても大切であるといえます。

B型肝炎、C型肝炎ウイルスに感染している場合には定期的にチェックを受けることで、仮に肝臓がんになっても初期の段階で癌を発見することができます。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の症状】

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているように、初期の肝臓がんには特有の症状は少なく、肝炎・肝硬変などによる肝臓の障害としての症状が主なものです。

肝硬変とは肝炎ウイルスなどにより肝細胞の破壊が進み、肝臓全体が萎縮してしまうことで肝機能が低下した状態をいいます。
多くの場合血小板の数値が10万程度と低くなっています。

肝硬変により肝機能が低下し、エネルギーの代謝や毒素の解毒といった肝臓の働きが悪くなってくることにより、「食欲不振」「全身の倦怠感」などの症状が現れてきます。

肝機能の低下がさらに進むと、血管やリンパ管から漏れ出した成分が腹部に溜まる「腹水」という状態が出てくることがあります。
腹水は栄養成分であるためむやみやたらと抜くと体力の低下が起きますので慎重にすべきです。

肝臓がん(肝臓癌)が進行すると手足や顔、白目の部分が黄色くなる「黄疸」が現れることもあります。

さらに肝臓が腫れて血管を圧迫することで肝臓に送られる血液が胃や食道などの静脈に大量に流れるようになると静脈がこぶのように大きく膨らむ静脈瘤ができることがあります。
静脈瘤が破裂すると「吐血」「下血」を起こし、命を落とすことがあります。

肝臓がん(肝臓癌)では血液が脾臓に流れ込むことで赤血球が壊され「貧血」になることもあります。
貧血になるとめまいや冷や汗、脱力感などの症状が出ます。

肝臓に血液を運ぶ血管のうち門脈が詰まると、小腸や大腸に血液が溜まり、腸がむくんでしまうことで「便秘や下痢」が続くことがあります。

さらにがんが進行した状態では大きくなった肝がんが破裂して出血し「腹痛」を起こすこともあります。
みぞおちあたりにグリグリとしたシコリが現れることもあります。

肝臓は多少調子が悪くても症状が表に出にくく、気づいたときにはかなり進行していることが多いので、日頃から肝臓をいたわることが大切です。
肝臓の働きは主に、栄養の代謝と有害物質の解毒にあります。

肝臓をいたわるためには、良質なたんぱく質をしっかり取ること、ビタミン、ミネラルが多い栄養バランスのとれた食事に心がけることです。
そして、日頃から酒量の多い人はアルコールを控えること、 糖質や脂質の取りすぎには十分に注意すること、さらには化学薬品(合成着色料、保存料、食品添加物、農薬、防腐剤、医薬品等) の摂取をできるだけ控えることがとても大切です。

肝内胆管がんにも症状は特にありません。肝内胆管がんは浸潤性の強いがんであるためじわじわと肝臓の出口付近にある胆管にしみこむように拡がり胆管が閉塞してしまい、黄疸が起きます。
肝内胆管がんは非常に見つかりにくいがんであるため、症状が出てから発見されることも珍しくなく、進行している場合が多いがんです。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の診断】

肝臓がんの診断には血液検査と画像診断法が行われます。どちらか一方だけでは不十分です。
また、血液検査や画像診断法を駆使しても「肝臓がん」と診断がつけられないこともあり、その場合は針生検といって、肝臓の腫瘍部分に針を刺して少量の組織片をとり、顕微鏡で調べることも行われます。

<血液検査>(肝臓癌の検査)

肝臓がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。
基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。

◆GOT、GPT 基準値 GOT(AST) 13-35U/l,GPT(ALT) 8-48U/l

肝機能に異常がないかを調べるために血液中の「GOT(AST)」と「GPT(ALT)」の値を調べます。
こららは肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊されると血液中に大量に流れでてくるため数値が上昇します。
肝細胞がどの程度障害を受けているのかの指標になります。

◆血小板(Plt) 基準値 12-40万/ul

血小板は血液を固めるために必要な血球成分です。肝硬変になると血液の中の血小板が減ってきてしまいます。
肝硬変の進行具合の指標になり10万/ul以下に低下すると肝臓がんの発症率が高くなります。

◆アルブミン(Alb) 基準値 4.1-5.1 g/dl

アルブミンは血液蛋白の一部で肝臓でしか作られないため肝機能が低下してくるとアルブミンの数値も低下してきます。
著しく低下してくると腹水や浮腫みがでます。

◆総ビリルビン(T-Bil) 基準値 0.3-1.2 mg/dl

肝細胞に障害があるときにあがってくる数値で、血液中の総ビリルビンが増えると黄疸であるといわれます。

◆α−フェトプロテイン(AFP) 基準値 20 ng/ml以下

肝細胞がんのおよそ90%で陽性になる腫瘍マーカーです。
元来は胎児の肝臓と卵黄嚢で産生される糖タンパクで出生後には急速に低下しますが、肝癌になるとこのタンパク質の合成が活発になるため陽性になります。

◆PIVKA-II 基準値 0.1 AU/ml以下(肝臓がんの腫瘍マーカー)

肝細胞がんに特有の腫瘍マーカーで他の疾患では上昇することは少ないのですが、ビタミンK欠乏の時にも上昇するのでワーファリンなどの薬を服用しているときにも上昇することがあります。

<画像検査>

◆超音波検査(肝臓癌の検査)

肝臓がんを早期に発見するうえで有効な検査になります。超音波診断装置を使用する検査で、直径が1〜2cm程度の小さな肝がんでも見つける事ができる確率が高く一般にも普及している検査です。

◆CT検査(肝臓癌の検査)

CT検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って非常に鮮明な画像を得ることができます。超音波検査で調べきれなかった場合でもがんを見つけることができます。

◆MRI検査(肝臓癌の検査)

MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。
放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。

◆肝血管造影検査(肝臓癌の検査)

足の付け根かの動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を肝臓まで挿入し、造影剤を注入してエックス線撮影を行う検査です。

<肝生検>

超音波検査の画像で肝臓がんの位置を確認しながら、体表から細い針をさして癌の組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく検査する方法です。

ただし、針を刺すとがんが回りに散ってしまう危険性があるため血液検査や画像検査で診断が付かなかった場合のみ行われる検査になります。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の治療】

<治療方法を決めるにあたり>

肝臓がんの治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに肝臓癌の治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


肝臓がんの治療には多数の選択しがあります。外科療法(手術)、肝動脈塞栓術、エタノール注入療法が中心となります。
他にマイクロ波凝固療法、ラジオ波凝固療法、凍結療法、化学療法(抗がん剤)などもあります。

肝臓に放射線を照射すると正常や肝細胞が障害されてしまううえに発がんの恐れもあるため骨に転移した場合を除いて放射線療法はあまり行われていません。
ただ陽子線や重粒子線をつかった照射範囲を限定できる放射線治療は肝臓がんに有効であると考えられています。

肝臓がんの治療は、がんの進み具合(病期:ステージ。下記表参照)、患者さんの年齢・体力、肝機能の状態、合併症の有無などから判断して治療法が選択されます。

このうち肝機能の状態はとても大切な判断材料になります。

肝臓は再生能力のとても高い臓器で、健康な肝臓は70%近くが切除されてもほぼ元通りの大きさに戻るため切除しても機能的には問題がないと考えられています。

しかし、慢性肝炎や肝硬変を患っている場合には再生能力が低下してしまうため大きく切除してしまった場合に残った肝臓の機能が十分でなく命に関わる事態になることもあります。

基本的には外科手術によってがんを含む肝臓を切除する方法が取られるのですが、肝機能が低下しているなどの理由で切除する範囲が十分でない場合には移植や手術以外の方法が選択されることになります。

−病期分類−

肝臓がんの病期は「がんの大きさ・個数・血管への広がり具合」によって分類されます。

  • がんの大きさが直径2cmを超えている
  • がんが2つ以上ある
  • がんが血管の中に拡がっている

I期

3つの条件に1つも当てはまらない場合。

II期

3つの条件のうち1つだけに当てはまる場合。

III期

3つの条件のうち、2つに当てはまる場合。

IV-A期

3つの条件全てに当てはまるがリンパ節や多臓器への転移がない。 または3つの条件とは関係なく肝臓周囲のリンパ節に転移がある場合。

IV-B期

3つの条件に関係なく遠隔臓器への転移がある場合。

【肝臓がん(肝臓癌)の治療−外科手術(肝切除術)】

肝切除はがんを含めて肝臓の一部を切り取る手術で、最大の利点はがんが治る可能性がもっとも高いということです。
デメリットは合併症が起こる場合が少なからずあり、1〜2%ですが手術に起因する死亡があります。
また入院期間が1〜2ヶ月さらに退院してからの自宅療養が1〜2ヶ月必要で長期に及ぶことがあげられます。

肝臓はひとかたまりの臓器ですが、肝臓内を走る血管の分布によっていくつかの区画に分けて考えられます。
まず大きく左葉と右葉の二つに分かれます。左葉は外側区域と内側区域、右葉は前区域と後区域に分かれます。
さらに外側区域、前区域、後区域はさらに上下2つの亜区域に分かれ、これに内側区域と尾状葉(肝臓の後ろ側の小部分)を加えて合計8つの亜区域に分かれます。

肝臓の切り取り方は、これら肝の区画の「どこ」を「どのくらい」切除するかによって表現されます。
がんが区域をまたいでいる場合には複数の区域を切除します。

肝機能が低下していて大きく切除できない場合には安全のために、亜区域切除や部分切除などより小さい取り方を選ぶのが普通です。
がんでない肝臓をできるだけ残し、しかもがんを取り残さないのがよい手術ということになります。

残念ながら肝臓がんは再発の非常に多いがんであり、肝切除術により完全にがん細胞を切除したとしても3〜5年後までに再発する確立は70%にも達してしまいます。
しかし再発した場合でも条件によっては再手術することもできますし、下記に記すように他にいくつかの治療法がありますので落ち着いてがんに対峙するようにしましょう。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の治療−肝動脈塞栓術(TAE)】

肝動脈塞栓術は、がんが進行しているため、完全に切除できないと判断された場合や、患者さんの肝機能の状態が悪くて手術ができないと判断された場合に行われる肝臓がんの治療方の1つです。

肝臓には肝動脈と門脈という二つの血管から酸素や栄養分を受けていますが、一方で肝臓がんはほとんど肝動脈のみからそれらの供給を受けています。
この性質を利用して行う治療が肝動脈塞栓術なのです。

つまり肝動脈塞栓療法は肝臓がんに栄養を送っている肝動脈を塞いで、肝臓がんが酸素や栄養を供給されないようにし、壊死させることができるのです。

具体的には太ももの付け根の部分からカテーテルと呼ばれる管を肝動脈まで挿入し、抗がん剤をしみこませた「ゼラチン・スポンジ」という小さなスポンジ状のゼラチンを詰めて肝動脈を詰まらせます。
肝動脈が詰まっているためがんは酸素などの供給を受けることができなくなり壊死します。
その後スポンジは自然に溶けて血流は元通りに回復します。

肝動脈塞栓術は1回の治療で1週間ほどの入院が必要です。
1回の治療で癌細胞が完全に壊死できなくても繰り返し同じ治療を行えばほぼ消滅させることができます。

この治療法はがんの進み具合についての制限はほとんどなく、適応範囲が広い治療ですが、癌細胞が門脈を塞いでしまっている場合には行うことができません。
また黄疸や腹水が見られるほど肝機能が低下している患者さんに対しても治療ができない場合があります。

治療中や後に発熱がみられたり、食欲不振や腹痛、吐き気などの副作用が現れる場合がありますが数日で収まり、1週間程度で以前と同じ生活ができるようになります。

このように、肝動脈塞栓術は他の治療法に比べ治療対象の制限が少なく、長所も多く、最近の肝臓がん治療成績の向上に最も寄与しています。
しかし、延命効果は多大ですが、完全に治りきる確率(完全治癒率)は現在のところ10%程度です。

 

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【肝臓がんの治療−経皮的エタノール注入療法】

経皮的エタノール注入療法とは超音波画像でがんの位置を確認しながら体外から100%エタノール、すなわち純アルコールを肝臓がんの部分へ注射して、アルコールの化学作用によりがん組織を死滅させる治療法です。
エタノールにはタンパク質を凝固させる作用があり、エタノールを注入された癌細胞は瞬時に固まって壊死します。

問題点としては体内の直接見えない部分にあるがんの位置をいかに正確に把握しエタノールを接触させられるか、がん以外の部分へのエタノールの接触を最小限にとどめ副作用を抑えられるかが重要になってきます。

エタノールは正常な肝細胞も破壊してしまうため、多量のエタノールを注入してしまうと広範囲にわたり肝細胞が壊死してしまい肝臓の機能が失われてしまいます。
また、肝がんが超音波画像で見えにくい場合や、がんが肝臓内部の重要な血管に接している場合にはアルコール注射が安全かつ十分にできないこともあり、すべての場合で可能とは限りません。

一般にがんの直径が3cm以下で、がんの個数は3個以下がこの治療の対象とされています。
しかし、よい効果が得られるのは2cm以下のもので、2cmを超えるとアルコールとの接触が完全に行うことができない場合もあり、治療成績は落ちます。

黄疸や腹水が見られるほど肝機能が低下している患者さんに対しても治療ができない場合があります。

エタノール注入療法は癌の大きさや個数に応じて複数回の治療を行うことになります。
副作用は塞栓術に比べて軽微で3−4日毎に治療を行うことができます。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の治療−マイクロ波凝固療法、ラジオ波凝固療法】

マイクロ波凝固療法は、電子レンジにも使われているマイクロ波を利用してがんを焼いて殺す治療法です。
電子レンジはマイクロ波を使って水分子を振動させ食べ物を加熱しますが、この治療法では体表から長い針を刺し、針の先からマイクロ波を出します。

この療法の問題点は、とても高熱になるということです。
そのためがん以外にも正常な組織も焼かれてしまう危険性が高く、肝臓の周りの臓器までも傷ついてしまう危険性があります。

また、マイクロ波ではなくラジオ波を使ってがんを焼いて殺すラジオ波凝固療法もあります。 ラジオ波はマイクロ波と比べて温度が高くならないため正常な肝細胞や周りの臓器を焼いてしまう危険性が少なく、小さながんであれば壊死できる可能性も高く、入院期間も短縮できるという利点があり、現在積極的に行われつつあります。

しかし、この治療法はまだ新しい方法で、長期的な効果は不明です。
世界的にもいまだまとまった治療成績の報告が少なく、日本では保険適用が認められておらず、医療側も患者側も「実験的治療」であることを認識した上で施行するべき治療といえます。

 

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【肝臓がん(肝臓癌)の治療−放射線療法】

放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。
日本では肝臓がんの場合、放射線療法はあまり行われていません。
一部肝臓癌が骨に転移した場合には痛みの症状を緩和する目的で行われることがあります。

【肝臓がん(肝臓癌)の治療−全身化学療法(抗がん剤)】

肝臓がんに対する全身化学療法(点滴や経口)の効果はほとんどなく有用な抗がん剤治療は現時点でありません。

肝臓がんに対する、抗がん剤の単独投与の1、2、3年生存率はそれぞれ、17.0、5.7、2.7%と低く、何も投与しなかった場合の生存率と大差ありません。(日本肝癌研究会、第11回全国原発性肝癌追跡調査報告)

肝臓がんにおいて全身化学療法を薦められた場合には、「使用する抗がん剤名」、「なぜ抗がん剤の投与が必要なのか(使用目的)」、「投与方法と投与期間」、「治療の副作用にはどのようなことが考えられるか」などについて担当医に最低限確認してください。

担当医が十分に質問に答えてくれない場合には、セカンド・オピニオンを求めることをお勧めいたします。

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【肝臓がん(肝臓癌)の治療−局所化学療法(動注抗がん剤)】

動注抗がん剤はここ数年の間に普及し始めた治療方法で、太ももの付け根の部分からカテーテルと呼ばれる管を肝動脈まで挿入し、肝動脈から抗がん剤を注入する方法です。

一度の注入だけでは効果があまり効果が望めない場合には、手術で開腹して直接肝動脈にカテーテルを挿入するか、足のつけ根の動脈(大腿動脈の枝)からカテーテルを肝動脈まで進めるか、どちらかの方法でカテーテルを留置して、おなかの皮膚の下に埋め込んだ、薬液注入用の小さい貯留容器(リザーバーまたはポートと呼びます)から抗がん剤を注入します。

新しい治療方法であるため、現在のところどの程度効果が期待できるのか分かっていないのが現状であり、肝動脈塞栓術やエタノール注入などができない場合に次善の策として行われています。

肝臓がんの化学療法に使われる抗がん剤はマイトマイシンC、5−FU、シスプラチン(他にランダ、ブリプラチン)、アドリアマイシン、ファルモルビシン、ノバントロンなどが使われます。

 

放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすいため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
免疫力を賦活させることが大切
です。

また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。

 

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【肝内胆管がんの治療】

肝内胆管がんの場合、外科的手術による切除以外有効な治療法はありません。
抗がん剤が使われることがありますが、効果はほとんど望めません。

【転移性肝臓がんの治療】

大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、膵臓がんなどを含む多くの臓器から肝臓には転移します。肝臓に転移したがんを転移性肝臓がんといいます。転移性肝臓がんの治療として最も確率の良いものは外科的手術になります。

しかし、転移性肝臓がんで手術が適応となるのは全身状態が手術に耐えられること、手術により肝臓にあるがんが取り除くことができること、原発巣(転移してきたがん)と肝臓以外にがんがないことなどが条件となります。

肝臓に転移した場合の多くは、がんが進行していて手術ができない場合も少なくありません。

大腸がんの肝転移の場合には比較的手術ができることが多く、良好な結果を得られる場合も少なくありません。胃がんや乳がんでは一部の方で手術が、肺がんや膵臓がんではほとんど適応になることはありません。

手術ができない場合は抗がん剤を肝動注または点滴で静脈投与することになります。

転移性肝臓がんは、もともとあった癌の性質を持っているので、使用する抗がん剤の種類は元のがんに応じて選択されます。一時的に抗がん剤が有効な例もありますが、手術以外の方法で根治させることは困難です。

肝臓がんの有力な治療法である肝動脈塞栓療法(TAE)とエタノール注入療法(PEI)は転移性肝がんでは残念ながらあまり有効ではなく、これらの治療を行うことは稀です。

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