がん(癌)部位別情報

◆白血病(急性/慢性リンパ性白血病,急性/慢性骨髄性白血病,骨髄異型性症候群)

血液は3種類の血球(赤血球、白血球、血小板)と液体成分の血漿(けっしょう)でできています。
血球は全て造血幹細胞とよばれるさまざまな血球に分化・成熟していく機能を持つ細胞から造られます。
造血幹細胞は主に骨髄にあります。

白血病とはこの造血幹細胞ががん化して無制限に増殖してしまう悪性腫瘍です。

白血病は一般的に臨床経過または検査所見により急性白血病慢性白血病に分類されます。
さらに白血病細胞の種類により骨髄性とリンパ性に分類されます。他に骨髄でがん化した不完全な血球しか作ることができなくなってしまう骨髄異型性症候群という病気があります。

つまり一言で白血病と言いますが、白血病は実際には急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病に分類され、他に白血病の前段階である骨髄異形成症候群という病気があるということになります。

急性骨髄性白血病/急性リンパ性白血病

急性白血病になると骨髄で造られる造血幹細胞ががん化し骨髄ががん化した白血病細胞のみで占められてしまい正常な血液細胞がほとんど造られなくなり、血管中にも流出するようになります。

そのため全身の血液でも白血球、赤血球、血小板が減少してきます。骨髄では白血病細胞が充満してしまいます。

急性白血病は早期に発見されれば治癒する可能性は高いのですが、経過が急激であるため発見が遅れると急速に進展してしまいます。

骨髄性白血病とリンパ性白血病の割合は小児では1:4でリンパ性が多く、成人では4:1で骨髄性白血病が多く見られます。

【急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病の症状】

急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病の症状は、正常な血液細胞が造られないために起こる症状と、白血病細胞が異常増殖するために現れる症状があります。

正常な白血球は細菌やウイルスが体内に侵入した際にそれを排除する免疫の役割をもつ細胞です。
急性白血病により白血球が減少することで感染症にかかりやすくなったり、原因不明の発熱が起こることがあります。

正常な赤血球は全身に酸素を運ぶ働きをします。
そのため急性白血病により赤血球が減少することで、動悸、息切れ、全身の倦怠感、顔面蒼白などの貧血症状が現れます。

血小板は出血を止める機能を持っています。
急性白血病により血小板が減少すると歯茎や鼻から出血したり、出血斑ができたり、青あざができやすくなります。

白血病細胞が増えたために起こる症状としては、脾臓や肝臓が腫れてお腹が張ったり、腰が痛くなったり、骨や関節の痛みが出たり、歯肉が腫れたり、頭痛や吐き気が起こることがあります。

【急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病の診断】

白血病が疑われる場合には、まず血液検査を行い各種血液細胞を数え、異常細胞の有無をチェックします。
血液検査の結果が正常ではなかった場合はさらに骨髄穿刺(こつずいせんし)が必要になります。

骨髄穿刺とは、胸骨または腰骨に太い針を刺して骨の中心部分から骨髄液をとり、白血病細胞の有無を顕微鏡で調べるとともに骨髄性の白血病なのか、リンパ性の白血病なのか等の確定診断を行います。

さらに染色体検査や遺伝子検査、表面マーカーといった白血病細胞の特徴をさらにはっきりさせる検査を行います。

これは、白血病のタイプによって治療方法が異なるためです。

【急性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病の治療】

<治療方法を決めるにあたり>

白血病の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに白血病の治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。

急性白血病に対する治療の主体は化学療法(抗がん剤)になります。
他に放射線療法や造血幹細胞移植療法が行われることもあります。

急性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病にはがんの拡がりを示す病期という考えがありません。
また急性白血病の診断時にはすでに全身性の疾患であるため治療の選択において放射線療法といった局所的な治療だけが行われることもありません。

急性白血病の治療の選択の際には以下に示す病気の時期が関連します。

時期

初発時

一度も化学療法などの治療を受けていない時期。

寛解時

治療により骨髄及び血液中に白血病細胞がほぼ消失した状態で、白血病の症状もなくなります。

再発時

治療により一度寛解したが、再び白血病細胞が出現したじょうたいです。

不応時

治療を行っても寛解にならず白血病細胞の減少が不十分な状態です。

−初発時の治療−(急性白血病の治療)

強力な抗がん剤による完全寛解(骨髄中の白血病細胞が5%未満になり他臓器への浸潤もなくなる状態)を目的とした治療である寛解導入療法を行います。

白血球が減少して感染症にかかりやすくなるため無菌室で治療は行われます。

急性前骨髄性白血病(APL)というタイプの白血病では、活性化ビタミンAのレチノイン酸という薬を使って、白血病細胞の分化を促進して成熟させ自然死に導く「分化誘導療法」が効果的です。 抗がん剤ではなくビタミンAなので口が渇いたり皮膚が赤くなる程度の副作用しか現れません。

いずれの場合でも早ければ数週間で完全寛解になる可能性があります。
1回の治療で完全寛解にならなければ2回以上同じ治療を繰り返し行います。

−寛解時の治療−(急性白血病の治療)

完全寛解になると骨髄や血液の中には、ほとんど白血病細胞が見られなくなりますが、それでもまだ1億以上の白血病細胞が残っていると考えられます。
そのため寛解後療法として「地固め療法」「維持・強化療法」と呼ばれる化学療法を引き続き数年間行います。

地固め療法は導入療法と同様の強力な抗がん剤を使用するため、入院のうえ行われます。
維持・強化療法は再発を予防するために行う治療で、通院でも行うことができます。

白血病細胞に特定の染色体異常があったり、寛解までに時間がかかった場合には再発してしまう可能性が高くなります。

患者さんの年齢が50歳くらいまでで全身状態が良好で臓器機能が正常であれば、白血球の型(HLAといいます)が一致した健康な方(ドナー)から正常な造血幹細胞を採取し、静脈から輸血をするように体内に入れ破壊された骨髄と入れ替えていく「造血幹細胞移植」が行われることもあります。

急性白血病で行う造血幹細胞移植には大量の抗がん剤と放射線を用いて、体内にある全ての白血病細胞とそのほかの正常な血液細胞を壊す必要があるため、体力がなければ治療に耐えることができないため対象となる年齢が50歳くらいまでに制限されてしまいます。

−再発時、不応時の治療−(急性白血病の治療)

白血病の再発時には前回効果が見られた治療法を再度行うことがあります。

それでも効果が出ない場合、または不応時には治験薬(実験段階の薬)を使うなど新しい治療を試みます。

いずれにせよ白血病の治療中は白血球が減るためウイルスや細菌に感染しやすくなってしまいます。
そのため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
さらに、免疫力を賦活させることが大切
です。

 

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慢性骨髄性白血病,慢性リンパ性白血病

慢性白血病は、白血病細胞が分化・成熟する力を保っていて増殖スピードも穏やかです。
4〜5年の初期段階ではほとんど症状が無くゆっくりと進行するため慢性期と呼ばれていますが、その後は急性に転化し、症状が現れるようになります。

急性白血病と違い、慢性白血病は治癒させることが困難な病気です。

【慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の症状】

慢性白血病の初期ではほとんど無症状です。
この時期には健康診断などの血液検査で白血球数が異常に増加しているために発見されることが多いようです。

慢性白血病により白血球数が増加するに従い、全身倦怠感、夜間の異常発汗、体重減少や脾臓が腫れて胃腸を圧迫し腹部の膨満感が現れることもしばしばあります。

慢性リンパ性白血病では急性白血病同様の白血球や赤血球、血小板の減少による症状が現れることがあります。

【慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の診断】

急性白血病と同様、血液検査と骨髄穿刺が行われます。

【慢性骨髄性白血病・慢性リンパ性白血病の治療】

<治療方法を決めるにあたり>

慢性白血病の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに白血病の治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


慢性骨髄性白血病は急性転化してしまうと、現在では有効な治療法がないため、急性転化を食い止めることが治療の目標になります。

−慢性骨髄性白血病−

病期

慢性期

白血球数は増加しているが芽球と呼ばれる未熟な白血球の割合は少ない時期。治療を行わなかった場合数年以内に必ず急性転化に移行します。

移行期

慢性期と急性転換期の間で芽球の割合が増加し治療による白血球数のコントロールが困難になったり、脾臓の腫れが進行します。貧血や出血、発熱などが現れることもあります。

急性転換期

骨髄、血中の芽球の割合が30%以上に増加します。白血球数のコントロールが困難で、白血病細胞が骨髄以外の骨やリンパ節に腫瘤を作ることもあります。

髄膜白血病

脳や脊髄の周りにある髄膜などにも白血病細胞が浸潤している状態です。

慢性骨髄性白血病の場合は、造血幹細胞移植が治癒を期待できるほぼ唯一の方法ですが、大量の抗がん剤などを使用するため副作用が強く、高齢者などには適応できません。

慢性骨髄性白血病の患者さんで造血幹細胞移植が受けられなかったり、移植しても効果がなかった場合には「インターフェロンα:商品名IFN-α、OIF、スミフェロンなど」を使って白血球数を抑える薬物療法や2001年12月から発売されている「メシル酸イマチニブ:商品名=グリベック」を使って慢性骨髄性白血病の原因となる異常なタンパク質の働きを抑えがん細胞を死滅させる方法があります。

インターフェロンを使った慢性骨髄性白血病の治療は毎日皮下注射を続けることになりますが、副作用が強くインフルエンザに似た症状が現れます。
また抑うつ状態になることがあり、この場合には注意が必要となります。

メシル酸イマチニブを使った慢性骨髄性白血病の治療は、副作用が少なく効果も高いため今後が期待される治療方法ですが現時点では長期的な効果は不明であるため、現在受けている治療の効果があればその治療を続けたほうが良いとされています。

慢性骨髄性白血病が移行期になると造血幹細胞移植をおこなっても治癒率は下がります。
さらにすすんだ旧制転化期ではさらに治癒率は下がってしまいます。
そのため早期に発見して造血幹細胞移植を行うことが慢性骨髄性白血病を治癒させるほぼ唯一の方法と言われています。

 

−慢性リンパ性白血病−

病期

0期

血中のリンパ球の数だけが多く、身体に異常は認められない状態。

I期

血中のリンパ球の数が増加し、リンパ節が腫れてきている状態。

II期

血中のリンパ球の数が増加し、肝臓や脾臓、リンパ節が腫れてきている状態。

III期

リンパ球の増加とともに貧血が現れている状態。肝臓や脾臓、リンパ節が腫れていることもあります。

IV期

リンパ球の増加とともに、貧血、血小板の減少による出血が現れている状態です。肝臓や脾臓、リンパ節が腫れていることもあります。

慢性リンパ性白血病では化学療法が行われることが一般的です。
他に放射線療法や造血幹細胞移植が行われることもありますが、高齢者に多い白血病であるためQOL(生活の質)を考慮して強力な抗がん剤を使った治療を行わない場合も多いようです。

慢性リンパ性白血病の0期〜II期で無症状の場合には治療を行わずに経過観察をすることが多いようです。

0期〜II期の症状が出ている場合では「シクロホスファミド:商品名=エンドキサン」を数ヶ月間使い症状が改善された場合には一度治療を中止するという方法が取られることが多くなります。

慢性リンパ性白血病のためにリンパ節が腫れたり、脾臓が腫れている場合には放射線療法が行われることもあります。

慢性リンパ性白血病のIII期〜IV期になると抗がん剤で症状を改善することが難しくなってきます。
その場合は新しい治療法などが試される場合があるようです。

抗がん剤による慢性リンパ性白血病の治療中は白血球が減るためウイルスや細菌に感染しやすくなってしまいます。
そのため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
免疫力を賦活させることが大切
です。

 

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骨髄異型性症候群

骨髄異型性症候群とは、造血幹細胞の遺伝子や染色体がわずかに異常を起こし、きわめてゆっくりと血液成分全体に異常が起きて、白血球、赤血球、血小板のどの血球も減ってしまう病気です。

骨髄異型性症候群は60歳以上の高齢者に多い病気で、患者さんのうち20%程度が急性白血病に転化するため「前白血病状態」と呼ばれることもあります。

白血病化した芽球の割合が20%以上であれば急性白血病、それ以下であれば骨髄異型性症候群に区別されます。

【骨髄異形成症候群の症状】

骨髄異型性症候群では正常な血液細胞が造られないためにさまざまな症状がでるようになります。

正常な白血球は細菌やウイルスが体内に侵入した際にそれを排除する免疫の役割をもつ細胞です。 骨髄異型性症候群のために白血球が減少することで感染症にかかりやすくなったり、原因不明の発熱が起こることがあります。

正常な赤血球は全身に酸素を運ぶ働きをします。
そのため骨髄異型性症候群になると赤血球の減少により、動悸、息切れ、全身の倦怠感、顔面蒼白などの貧血症状が現れます。

血小板は出血を止める機能を持っています。
骨髄異型性症候群のために血小板が減少すると歯茎や鼻から出血したり、出血斑ができたり、青あざができやすくなります。

【骨髄異形成症候群の診断】

急性白血病と同様、血液検査と骨髄穿刺が行われます。

【骨髄異形成症候群の治療】

<治療方法を決めるにあたり>

骨髄異型性症候群の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに骨髄異型性症候群の治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


骨髄異型性症候群には病気分類という考えがありませんが、治療の選択の際には以下に示す病気の時期が関連します。

時期

不応性貧血

骨髄中の未熟な芽球は5%以下で、貧血が主な症状です。他に白血球や血小板の減少を伴うこともあります。

環状鉄芽球性不応性貧血

骨髄の中に環状の鉄分を含んだ未熟な赤芽球が認められます。不応性貧血とほぼ同様の症状です。

芽球増加を伴う不応性貧血

骨髄中の未熟な芽球が5%以上20%以下の状態で、血液及び骨髄の異形成像が認められます。

骨髄芽球が悪性化し増加する不応性貧血

骨髄中の未熟な芽球が20%以上30%以下になった状態で、末梢血にも未熟な芽球が現れます。急性白血病になりかかっている状態です。2000年にWHOにて提唱された分類では20%以上であれば急性白血病と定義されているため現在は概念がなくなっています。

慢性骨髄単球性白血病

骨髄中の未熟な芽球は20%以下で、血液及び骨髄の異形成像が同様に認められ、末梢血には単球が1,000/ul以上出現し始めた状態です。

骨髄異型性症候群の場合、造血幹細胞移植が治癒を期待できるほぼ唯一の方法ですが、大量の抗がん剤などを使用するため副作用が強く、高齢者などには適応できません。

不応性貧血や環状鉄芽球性不応性貧血の初期では輸血をする必要も無く、無治療で経過観察をする場合が少なくありません。
ビタミン12や葉酸などの薬剤は無効とされています。

貧血が進行してヘモグロビン値が8g/dl以下になると貧血症状を改善するために赤血球輸血を行います。
ただし頻繁に赤血球輸血を行うと内蔵に鉄分が沈着してしまうため鉄分を除去する薬を使うことがあります。

出血傾向があるか、血小板数が2万/ul以下になると血小板輸血が行われます。

白血球の減少に対しては抵抗力が弱くなり感染症を起こしやすくなるため抗生物質や抗真菌性の薬を使うことがあります。

化学療法(抗がん剤)は強力な多剤併用療法を行うか、高齢者には少量化学療法が選択されますが、いずれにせよ治療成績はあまりよくありません。

骨髄異型性症候群では造血幹細胞移植以外に治癒を望める治療法がないため、積極的に臨床試験が行われています。

不応性貧血および鉄芽球性貧血以外では予後が非常に悪く、感染症や出血が原因で命を亡くすことが多いため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
免疫力を賦活させることが大切
です。

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