がん(癌)部位別情報

◆大腸がん(直腸癌,盲腸癌,S状結腸癌,上行結腸癌,横行結腸癌,下行結腸癌)

大腸がん(大腸癌)は大腸に発生するがんの総称であり、がんのできる部位よって分類されます。

大腸の始まりは盲腸で、続いて上に向かうので上行結腸、次いで横たわっている部分の横行結腸、下に向かう下行結腸、S字状にまがっているS状結腸、そして肛門に続く15cmほどのまっすぐな部分を直腸と呼びます。

大腸がんは癌ができたそれぞれの部位によって盲腸がん、上行結腸がん、横行結腸がん、下行結腸がん、S状結腸がん、直腸がんと呼びます。

大腸がん(大腸癌)のできやすい部位は、直腸とS状結腸、上行結腸となります。
つまり、大腸癌のうち日本人に多いのは直腸がん、S状結腸がん、上行結腸がんの順になります。

大腸がん(大腸癌)は、日本人に増加傾向が著しいがんで、胃がんを抜くという予想もされています。
また、大腸がん(大腸癌)による死亡も男性では肺がん、肝臓がんについで3番目、女性では1番目に多くなると予想されています。

大腸がんの発生を年齢別に見ると60歳代が一番多く、次いで50歳代、70歳代の順です。
若年者(20-30歳代)大腸がん(大腸癌)は家族や血縁者の中に多発する傾向があります。

【大腸がん(大腸癌)の原因】

日本人に大腸がん(大腸癌)が増えている要因としては大きく3つあります。

1つは、食生活の欧米化により、動物性脂質や動物性タンパク質の摂取量が増えたのに対し 炭水化物や食物繊維の摂取量が減っているため便が大腸内に留まる時間が長くなり、食べたものに含まれていたり、 代謝によって発生した発癌物質が大腸粘膜に接している時間が長くなったためであると考えられています。

便秘症の方は大腸がん(大腸癌)の危険性が高くなりますので、普段から便秘には気をつける必要があります。

もう1つは、高齢者の急激な増加です。

他のがんでも同じことが言えますが、がんは高齢者に発症しやすい病気である為高齢者が増えればがんになる方も増えるということになります。

上記は食生活などの後天的な環境的因子での大腸がんの増加要因ですが、大腸がん(大腸癌)の発生には他に遺伝的因子が関与している場合もあります。

「家族性大腸ポリポーシス」と「遺伝性非ポリポーシス大腸がん」です。

家族性大腸ポリポーシスは若いうちに大腸に数百ものポリープができ、高頻度で大腸がん(大腸癌)が発生する遺伝性の病気で大腸がん(大腸癌)の1%程度になります。

遺伝性非ポリポーシス大腸がん(大腸癌)はポリープを伴わないがんで、「親子などの近親者に大腸がんの人が3人以上いる」「大腸がん(大腸癌)の発生が2世代以上にわたる」「50歳未満で大腸がん(大腸癌)と診断された人がいる」という3つの条件がそろったときに診断され全体の5%程度を占めます。

 

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【大腸がん(大腸癌)の症状】

大腸は長い臓器であるため、大腸がん(大腸癌)の症状は部位によって異なります。

大腸がんの初期には自覚症状がありませんが、ある程度がんが大きくなると血便や排便異常、残便感、腹痛、下痢と便秘、腹部のはり、貧血症状などが出てきます。

血便は肛門近くにできたがんであるほどはっきりと赤い血液が付いた便になるので分かりやすくなります。
そのため直腸がんでは赤いはっきりとした血便が多く認められます。S状結腸がんでは血液が少し変色して黒っぽくなった血便となります。
さらに肛門からはなれた結腸がん(盲腸がんや上行結腸がん、横行結腸がんなど)になると血液が便に混じってしまい血便であることを見分けることが難しくなります。

排便異常や残便感、腹痛などは大腸の内腔(内側)が、がんで狭められたときに現れやすい症状になります。
これらの症状も血便と同様肛門近くにできたがんに表れやすい症状になります。肛門から離れた場所にできた場合にはまだ、水分を多く含んでおりドロドロした状態であるため、たとえ内腔が細くなっていても通過することができるからです。

腹痛や腹部のはり、貧血症状などは肛門から離れた結腸がん(結腸癌)に多く見られる症状になります。
腹部近くのシコリが大きくなり痛みやはりがでたり、がんからの出血が続き貧血症状が見られるのです。

他に腸閉塞気味になるために起こる嘔吐で発見されることもあります。

さらには大腸がんが進行して肺や肝臓に転移したことで呼吸が苦しくなったり、咳がでたり、背中や腹部が張ったり痛くなったり、食欲不振になったり黄疸症状が出て気が付く場合もあります。

 

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【大腸がん(大腸癌)の診断】

大腸がん(大腸癌)は初期の段階で発見できれば治る可能性が高いがんです。
しかし初期の段階では自覚症状がでないこともあるので、定期的に検査を受けることが大切です。

大腸がん(大腸癌)は高齢者に多く発生するがんですから、40歳を過ぎた頃からは定期的に検査を受けることをお勧めいたします。

特に食生活で脂肪分の多い食事や肉類を好み、野菜不足の方は大腸がんになりやすいためご注意下さい。

<便潜血反応検査>(大腸がんの検査)

大腸がん(大腸癌)の初歩的な検査には便潜血反応検査があります。
この検査は肉眼では見えない便の中の血液の有無を調べる検査で、食事制限もなく簡単に受けることができる検査です。
ただし、この検査が陽性でも、確実に「大腸がんがある」ということではありませんし、逆に陰性でも確実に「大腸がんはない」ともいえません。

大腸がん(大腸癌)の精密検査が必要かどうかを探すスクリーニング検査として行う性質の検査ですが、3割程度の人がこの便潜血反応検査で大腸がんが発見されています。

便潜血反応検査では出血を伴わない大腸がんの場合には見つけることができません。 また痔などでも陽性になることがあるので便潜血反応が陽性であったからといってすぐに大腸がんであるという判断はしないようにしましょう。

ただし、便潜血反応検査が陽性であれば大腸がん(大腸癌)の可能性はありますので直ちに精密検査を行うことをお勧めします。

<血液検査>(大腸がんの検査)

簡単にできる検査としては血液検査の腫瘍マーカーもあります。
腫瘍マーカーとは、がん細胞がつくる物質、またはがん細胞と反応して体内の正常細胞がつくる物質のうち、がんの診断または治療の目印として役立つものであり、大腸がん(大腸癌)の場合にはCEAという腫瘍マーカーを使います。

しかし、腫瘍マーカーには、がんに関係なく増えたり、他の臓器にできたがんでも上昇することがあるなど不確実なところがあり、これだけでがんの有無を診断することはできません。

主にがんの治療の効果を判定する指標として使われます。
進行の傾向を見る意味で使うと考えると良いでしょう。

<直腸診>(大腸がんの検査)

肛門から指を挿入して腫瘍の有無やできている部位を調べる検査です。
肛門近くの直腸は大腸がんが良くできる場所でもあるため簡便な検査方法として有用です。

 

大腸がん(大腸癌)のさらに詳しい検査には、注腸造影検査と内視鏡を使った大腸ファイバースコープがあります。
どちらの検査も下剤で便を全部排出しないと精度の高い検査はできません。
とくに内視鏡検査では盲腸まで挿入することになり、痛みも伴います。
胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。

<注腸造影検査>(大腸がんの検査)

注腸造影検査は昔から大腸がん(大腸癌)の検査で行われてきました。
肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入し大腸を膨らませた状態でX線撮影を行う検査です。

大腸がん(大腸癌)は直腸やS状結腸にできやすく注腸造影検査では見落とされる可能性があります。
また、薄く拡がる平坦型の大腸がんは見つけることが大変困難で見落としも多く、生殖器への放射線の被曝も多く、十分な空気を入れる必要があるため痛みも伴います。

痛みがあって、食事制限も必要であるにもかかわらず見落としの危険性があるということで、最近では注腸造影検査を行わずに内視鏡を使った検査を中心としている病院が多くなってきています。

ただし病院によっては内視鏡の経験豊富な医師がいないという理由で注腸を行っている施設が多いことは事実ですし、ひどい場合にはX線検査を行った後に内視鏡検査を行えば治療費を多く取れるという理由で注腸検査を最初に行う病院もあるようです。

厚生労働省発行の大腸ガン(大腸癌)検診ガイドラインでは精密検査として全大腸内視鏡検査をすすめる。
しかし内視鏡が困難な場合は注腸とS字結腸内視鏡の併用とするとなっています。
大腸がん(大腸癌)の検査で「注腸のみ」は好ましくないという見解です。

<大腸内視鏡検査(ファイバースコープ)>(大腸がんの検査)

肛門から内視鏡を挿入し大腸を調べる検査です。
内視鏡検査は、極めて小さなポリープも発見することができますし、微妙な色調の変化からがんを発見することができます。
さらに大腸がん(大腸癌)の疑いがある組織を採取することもできます。
採取した組織を顕微鏡で検査する生検を行うことでがんであるかの確定診断ができます。

ポリープの切除(内視鏡的ポリペクトミー)も可能であり、注腸検査より精度の高い有用な診断方法です。

内視鏡検査には経験が大切です。
経験豊富な医師であれば確実に一番奥の盲腸まで内視鏡を入れることができ、しかも痛みもそれほどなく検査を済ますことができます。

十分な経験を持つ医師が検査を行えば痛みが少なく、見落としもなく、被爆する危険性もないため大腸がんの精密検査としてもっとも確実な検査といえるでしょう。

大腸がんの場合、レントゲンや内視鏡ができる状態でない腸閉塞状態でも、CT検査で腫瘍の状態を把握することができます。
術前検査で大事なことは、がんがある周囲のリンパがはれていないかを検査すること、また肝や肺に転移していないかを検査することです。
これらはCTやMRI,超音波内視鏡などを用いて検査します。

<CT検査><MRI検査>ではがんの骨盤内での拡がりと他の臓器への転移の有無を調べることができます。

また<超音波内視鏡検査>ではがんが大腸壁のどこまで達しているのか、リンパ節転移の有無について調べることができます。
この検査では内視鏡の先端に超小型の超音波断層装置をつけて内視鏡検査と同様に検査を行います。
腸壁の断層像からがんの深達度を判断することができたり、深い部分に薄く拡がる大腸がんの浸潤の範囲を調べることができます。

<PET検査>(大腸がんの検査)

PETは現時点では限られた施設にしかありませんが、細胞分裂の盛んな細胞(癌)はエネルギー(ブドウ唐)を正常細胞よりも多く消費するという性質を利用した画像検査PET(ペット)が行われるようになってきました。

PETを用いた検査ではまず、「フッ素18」という放射性物質を付けたブドウ糖(FDG)を静脈注射します。
他の細胞と比較して異常な速さで増殖するがん細胞は多くのエネルギーを必要とし、ブドウ糖をより多く消費する性質があります。
ブドウ糖はがんの部分に集まり、それだけ放射線を多く放出するので画像で濃く見えるのです。

PETの検査は健康診断としては実費で受けるしかなく費用も10万円ほどの自己負担が必要となりますが、従来の検査でがんが疑われて確定診断が必要な場合や、転移・再発検査の場合には保険適用を受けることができ2−3万円程度で検査ができるようになりました。

しかし、画像の鮮明さでは内視鏡検査には及ばないため他の検査とあわせることも重要になります。

PETの検査は患者さんの苦痛がないことが大きなメリットです。

 

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【大腸がん(大腸癌)の治療】

大腸がん(大腸癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに大腸がんの治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


大腸がん(大腸癌)の治療には、外科療法(手術)、化学療法(抗がん剤)、放射線療法があり、がんのある場所、進み具合(病期:ステージ。下記表参照)、患者さんの体力、健康状態などから判断して治療法が選択されます。

大腸壁は胃壁と同様、5つの層に分けられ、最も内側が粘膜、中心部分が、腸を動かす筋肉、そして最も外側が漿膜と呼ばれています。
具体的には<粘膜>、<粘膜下層>、<固有筋層>、<漿膜下層>、<漿膜>の5層です。

大腸がんの進行はこれら5層のどの部分に達しているかで分類されます。
分類方法には下記の方法があります。
早期大腸がんは粘膜下層までにとどまっている状態になります。

−デュークス分類−

デュークスA

大腸がんが大腸壁内にとどまるもの

デュークスB

大腸がんが大腸壁を貫いているがリンパ節転移は無し

デュークスC

リンパ節転移あり

デュークスD

肝、肺、腹膜など遠隔臓器へ転移があるもの

デュークス分類は国際的に用いられている大腸がんの分類です。

−ステージ分類−

0期

大腸がんが粘膜にとどまるもの

I期

大腸がんが大腸壁にとどまるもの

II期

がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器に及んでいないもの

III期

がんが隣接臓器に浸潤(拡がること)しているか、リンパ節転移があるもの

IV期

肝、肺、腹膜など遠隔臓器へ転移があるもの

ステージ分類は日本で用いられている大腸がんの分類方法です。

【大腸がん(大腸癌)の治療−内視鏡的治療】

リンパ節転移の可能性がほとんどないと考えられる早期大腸がんは開腹手術をせずに内視鏡を使ってがんを切除する「内視鏡的粘膜切除術」が可能です。
開腹しないため患者さんの負担が少なく、場合によっては数日間の入院が必要となることもありますが、外来で治療が行われることが多い治療方法です。

茎があるがんは切除しやすいのですが、茎が10mm以上あると切離断端よりの出血に注意が必要です。
平坦ながんの場合は、粘膜下に液を注入し浮き上がらせて切除します。

切除した組織は顕微鏡を使って病理検査し、がんがどこまで達しているかを調べます。
がんが粘膜だけに限局していればそれで根治切除されたことになりますが、粘膜下にがんがあれば、リンパ節に転移していることがありますので開腹手術による腸の切除とリンパ節切除が必要になります。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(結腸がんの開腹手術)】

結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)のがんの手術は、病巣と共に口側と肛門側の腸管を10cmほど離して切除します。
同時に周囲のリンパ節の切除(リンパ節郭清と呼びます)を行います。

リンパ節郭清は、腺腫や粘膜内がんでは必要ありません。
また、浸潤している大腸がんでも浸潤の程度がほんのわずかでリンパ節転移の危険因子(病巣先進部の組織型や脈管侵襲などを調べて決めます)がなければ必要ありません。
しかし、大半の大腸がん(大腸癌)では病巣周囲のリンパ節郭清が必要です。

切除する結腸の量が多くても、術後の消化・吸収等の機能障害はほとんどおこりません。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(結腸がんの腹腔鏡手術)】

内視鏡的治療が困難な大きな腺腫や浸潤傾向の少ない早期大腸がんが対象となります。 腸管の部分切除や腫瘍周囲のリンパ節の郭清を行います。 手術時間はやや長くなりますが、4〜5cm程度の傷口で切除が可能ですので、術後の疼痛も少なく、術後7日前後で退院できるなど負担の少ない手術です。

腹腔鏡手術は開腹手術と比較してある程度経験が必要であるため、手術前に医師に経験があるのか確認したほうがよいでしょう。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(直腸がんの自律神経温存術)】

直腸は骨盤内の深く狭いところにあり、直腸の周囲には男性では前立腺や精嚢、膀胱が、女性では膀胱との間に膣や子宮があります。 骨盤内にある自律神経という細い神経繊維によって排便、排尿、性機能など日常生活の上で極めて重要な機能が調節されています。

進んでいない直腸がんには、自律神経をすべて完全に温存し、排尿性機能を術前同様に残すことも可能です。 しかし、病巣の広がりにより周囲臓器や神経に浸潤をしている場合には機能を犠牲にしても浸潤臓器や神経の合併切除が必要となります。 直腸がんの手術には病巣の場所や病巣の広がりに応じたさまざまな手術法があります。

自律神経温存術は下腹部と骨盤内にある自律神経によって、排尿機能や性機能は調節されています。 この自律神経を完全に温存することにより手術前と変わらない機能を維持することが期待できます。 自律神経を手術中に確認しながら進行度に応じて自律神経の温存をします。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(直腸がんの肛門括約筋温存術)】

進行した直腸がんの手術では、以前は肛門括約筋を切除して人工肛門が必要となるケースがほとんどを占めていましたが、最近では直腸がんの8割は人工肛門を避ける手術ができるようになりました。 肛門括約筋にがんの浸潤がなければ自然肛門を温存することが可能です。

ただし、直腸は肛門の直前で便をためておく役割を持っており、直腸を切除すると便をためておくことができなくなります。
そのため排便回数が増える頻便がおこるようになります。

この手術と自律神経温存術を併用すれば、術後の機能障害をかなり軽減することが可能となりました。
しかし、高齢者の場合、無理に肛門を残すと術後の頻便などのため逆効果になることもあります。
したがって、手術法と病期の進行度を正確に説明し、年齢、社会的な活動性、本人や家族の希望などを考慮にいれ、総合的に術式を決定することが肝要です。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(直腸がんの局所切除)】

肛門や肛門近くの直腸腫瘍に対して開腹手術ではなく局所切除を行います。
手術侵襲が少なく自然肛門が温存できます。
大きな腺腫や粘膜内がん、浸潤がんでも浸潤傾向の少ないもの(浸潤の程度や病巣先進部の組織型、脈管侵襲などを調べて決めます)が対象です。
肛門から切除する場合(経肛門的局所切除と呼びます)とお尻から骨盤の骨の横を切って直腸を切除する場合(経仙骨的局所切除)があります。

【大腸がん(大腸癌)の治療−外科手術(直腸がんの直腸切断術−人工肛門)】

肛門や肛門に近い直腸に発生した浸潤がんでは、病巣を残さずきれいに切除するために自然肛門を切除して人工肛門を造設する手術を行う必要があります。
また高齢者では肛門括約筋の筋力が低下しており、無理をして肛門括約筋温存術を採用した場合、
術後の排便コントロールが難しい場合もあるため、人工肛門による排便管理が勧められることがあります。

 

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【大腸がん(大腸癌)の治療−放射線療法】

放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。
日本では大腸がん(大腸癌)の場合、放射線療法はあまり行われていません。
切除範囲の狭い欧米では直腸がん手術の前後に放射線療法が行われています。
また、骨転移や骨盤内再発の痛みに対しては、症状を緩和する目的で放射線療法がしばしば行われます。

がんが大きい場合に手術前に放射線療法を行い、がんを小さくしてから手術を行う場合もあります。
これを術前照射といいます。

放射線治療の問題点としては大腸がん(大腸癌)は分化度の比較的高い腺癌であり放射線感受性が低いこと、さらに小腸など放射線感受性の高い臓器に囲まれていることにより十分な線量を腫瘍に照射できないことが挙げられます。

正常な細胞に放射線が照射されると正常な細胞がダメージを受け副作用が出ることがあります。
副作用には治療中又は治療直後にでるものと、半年〜数年後にでてくるものとがあります。

放射線の照射量には決まりがあり、無理をして大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため注意が必要です。

 

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【大腸がん(大腸癌)の治療−化学療法(抗がん剤)】

大腸がんの遠隔転移などのために外科療法で切除しきれない場合や、手術後にがんが再発した場合には化学療法(抗がん剤)による治療を行います。
リンパ節転移や遠隔転移があった場合、手術時にがんを残さずきれいに取ったとしても再発の心配があるため再発予防で抗がん剤治療が行われることもあります。

術後の再発を予防する目的で行われる抗がん剤治療を補助化学療法と呼びます。
大腸がんの補助化学療法の効果を確かめる研究は過去に多数行われてきましたが、現時点では十分な効果が確認された研究はありません。
標準治療とよべる補助化学療法はなく、内外の研究結果や、経験、感触を頼りに治療しているのが現状であり、再発予防になるという科学的データはないということです。

また大腸がん(大腸癌)が遠隔転移や再発した場合には「一時的に腫瘍を縮小させる」「がんの進行を遅らせる」ことを目的として抗がん剤が使用されます。
予防的投与よりより多量になるため、副作用も強くなるため十分な注意が必要となります。

大腸がん(大腸癌)は肝臓に転移しやすいのですが、その場合副作用を軽くするために肝動脈にカテーテルと呼ばれる細い管を通して抗がん剤を注入する、肝動脈動注化学療法が行われます。

化学療法を薦められた場合には、「使用する抗がん剤名」、「なぜ抗がん剤の投与が必要なのか(使用目的)」、「投与方法と投与期間」、「治療の副作用にはどのようなことが考えられるか」などについて担当医に最低限確認してください。

担当医が十分に質問に答えてくれない場合には、セカンド・オピニオンを求めることをお勧めいたします。

現在、大腸がんに対して主に使用されている抗がん剤には5-FU(5-フルオロウラシル)系、CPT-11「塩酸イリノテカン(カンプト、トポテシン)」、MMC(マイトマイシンC)などがあります。
また、5-FUの抗腫瘍効果を高めるロイコボリンを使用することがあります。

 

放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすいため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
免疫力を賦活させることが大切
です。

また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。

【治癒の目安】

大腸がん(大腸癌)の場合、転移によるがんの再発は、ほとんどが5年以内に起こります。 したがって、大腸がんの治療後5年間がんが見つからなければ、ほぼ治癒したと考えてよいといえます。

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