がん(癌)部位別情報

◆子宮頸がん(子宮頸癌、子宮頚癌、子宮頚がん)

子宮にできる悪性腫瘍の事を総称して子宮がん(子宮癌)といい、婦人科系のがんのなかでは最も発生頻度の高いがんになります。

子宮は女性の生殖臓器であり、骨盤の中央に位置しています。子宮の出口付近(膣に近い部分)を子宮頚部、子宮の上部、袋の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頚部癌または子宮頸がん(子宮頸癌)、子宮体部癌または子宮体がん(子宮体癌)とよび、同じ子宮がんでも区別して考えられます。

子宮頸がん(子宮頚癌)は子宮がんのうち8割程度を占めますが、最近は子宮体がんが増加傾向にあります。

子宮頚がん(子宮頸癌)は30歳代で増え始め40歳〜50歳代で最も多くなります。子宮頸部は膣に近い部分にあるため直接観察したり、触ったりすることが可能であり、30歳以上の女性を対象にした子宮頚がんの集団検診が全国で行われています。そのため早期のうちに子宮頸がんが発見できるケースが大変多くなり子宮頸がんの死亡率は年々低下しています。

しかし一方で、最近は20歳代の若い女性に子宮頚がん(子宮頸癌)が増えてきており、この場合進行が早く悪性度も高いため、若いうちから子宮頸がんの検診を行う地域も徐々に増えてきています。

子宮頚がん(子宮頸癌)は扁平上皮がんと腺がんに分けられます。以前は扁平上皮がんが多かったのですが、最近は腺がんが増えてきています。

【子宮頚がんの原因】

最近になって、子宮頚がんが発生しているほとんどの人に、ヒトパピローマウイルスというウイルスに感染していることが分かってきました。このことからヒトパピローマウイルスが子宮頸がん(子宮頸癌)の発生原因になっていると考えられるようになってきました。感染は性行為によって発生し、それ以外での感染は極めて稀になります。

性交渉の経験がある方であればどなたでもヒトパピローマウイルスに感染する恐れがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染する可能性があるということは、子宮頸がんにかかる危険性はありますので早期発見のために定期検査をすることをお勧めいたします。

※最新情報

子宮頚がんの原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)には約100種類ものタイプがあることが確認されています。これまでの研究で、HPVが子宮頚がんの原因ではないかと疑われ始め、さらに子宮頚がんの組織中に特定のタイプのHPVが多いことも分かってきました。 高危険型とされるのは16型と18型。日本では52型と58型などもがん組織から高率に見つかる傾向があり、高危険型と考えられています。

ただし、上記高危険型のウイルスに感染していても子宮頚がんとなるのは20%程度であるため定期的に検査をすることが有効であるとされています。

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【子宮頚がん(子宮頚癌)の症状】

子宮頚がんでは早期にはほとんど自覚症状がありません。

子宮頸がんが進んでくると生理以外の出血(不正出血)や生理の変化(長引く、不順になる)、性交時の出血(接触出血)、黄色いおりものが出るなどの症状が出てくることが多くなります。さらにがんが進行し骨盤にまで達すると腰痛が起こることがあります。

 

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【子宮頸がん(子宮頚癌)の診断】

<細胞診>

集団検診で「子宮がん検診」というと一般的には子宮頸がんの細胞診を指します。子宮頚部を綿棒や専用のヘラで軽くこすって細胞を採取し顕微鏡で調べる検査で、子宮頚がんにおける診断率は99%以上という信頼性です。

子宮頚がんの細胞診の検査結果は5段階(クラスI-クラスV)に分けられます。クラスI, IIは正常を、IIIaは軽度ないし中等度の異形成(前がん状態)を、IIIbは高度異形成を、IVは上皮内がんを、Vは浸潤がんをそれぞれ想定してします。

クラスIII以上の場合にはさらに詳しく調べる組織診が行われます。

この方法は簡単で痛みもほとんどなく、大勢の人に短い時間で行えるため集団検診で行う子宮がん検査はこの方法だけを行うことが普通です。(つまり子宮頚がんの検査だけを行っているということです)

<組織診(コルポスコープ)>(子宮頚がんの検査)

細胞診で子宮頸がんが疑われる場合には確定診断をするために組織診(コルポスコピー)を行います。組織診は、膣拡大鏡(コルポスコープ)で子宮頚部の粘膜の表面を観察しながら、組織を採取し、採取した組織を顕微鏡で調べることで異形成(前がん状態)や上皮内がん、進行したがんであるかの区別を付けることができます。

<画像検査>(子宮頚がんの検査)

組織診でがんと診断された場合には、がんの大きさやがんの拡がり具合、深さ、周辺臓器やリンパ節への転移の有無を調べるために画像検査が行われます。

◆超音波検査(子宮頚がんの検査)

体に超音波を発信し、組織に当たって反射してきた音波を捉えて画像を得る検査です。外来でできて患者さんの負担も少なく、放射線を浴びる心配がないなどのメリットがあります。

◆CT検査(子宮頚がんの検査)

CT検査(CTスキャン)はいろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影しコンピュータを使って 非常に鮮明な画像を得ることができます。周囲の臓器やリンパ節転移の有無を調べることができ癌の進行具合を調べるためには重要な検査になります。

◆MRI検査(子宮頚がんの検査)

MRI検査は磁場を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影する検査です。 放射線の被曝がなく超音波検査では見分けの付きにくいがんもMRI検査で診断できる場合があります。がんの状況、近傍臓器との関係などをよく把握することができるため手術前の検査としては大変価値のある検査になります。

◆PET検査(子宮頚がんの検査)

現時点では限られた施設にしかありませんが、細胞分裂の盛んな細胞(癌)はエネルギー(ブドウ唐)を正常細胞よりも多く消費するという性質を利用した画像検査PET(ペット)が行われるようになってきました。

検査ではまず、「フッ素18」という放射性物質を付けたブドウ糖(FDG)を静脈注射します。他の細胞と比較して異常な速さで増殖するがん細胞は多くのエネルギーを必要とし、ブドウ糖をより多く消費する性質があります。ブドウ糖はがんの部分に集まり、それだけ放射線を多く放出するので画像で濃く見えるのです。

患者さんの苦痛がないことが大きなメリットです。

<血液検査>

子宮頸がんの検査に使用される血液検査と基準値を示します。基準値は施設によって基準値が異なりますので詳しくは検査機関にお問合せ下さい。また、これらの数値は子宮頚がん以外の病気でも高くなることがありますので、目安としてお考え下さい。

◆SCC 基準値 1.5ng/ml以下(子宮頚がんの腫瘍マーカー)

SCC抗原は食道がん、子宮頚部がん、肺がん、頭頚部がん、などの扁平上皮癌患者の血中に高頻度に検出されることが報告されており、それらの優れたマーカーとなります。

◆CEA 基準値 5.0ng/ml以下(子宮頚がんの腫瘍マーカー)

CEAは子宮頸がん、胃がん、大腸がんなどの消化器癌、胆道癌、膵癌、肺癌などのさまざまな臓器由来の癌に幅広く出現するため、その診断補助および術後・治療後の経過観察の指標として有用性が認められています。

◆CYFRA(シフラ) 基準値 2.0ng/ml以下(子宮頚がんの腫瘍マーカー)

肺の非小細胞がん、特に扁平上皮がんや腺がんで多量に産生されます。また、各種婦人科癌でも高値を示すことが報告されています。

 

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【子宮頚がん(子宮頸癌)の治療】


<治療方法を決めるにあたり>

子宮頸がん(子宮頚癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し 患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに子宮頸がんの治療方法も多様化してきており、 医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


子宮頸がん(子宮頚癌)の治療には「外科療法(手術)」と「化学療法(抗がん剤)」「放射線療法」があります。 治療法は、がんの進み具合(病期)やがんの部位、患者さんの年齢、合併症の有無などから判断されます。

子宮頸がんの病期(ステージ)はがんの深さや転移の有無などによって分類されます。

0期

0期の子宮頸がんは非常に早期のがんです。がんは子宮頸部の上皮内のみにとどまっています。

Ia1期

子宮頚部にがんがとどまっていて深さは3mm以内で拡がりが7mmを超えていない状態

Ia2期

子宮頚部にがんがとどまっていて深さは3mmを超えるが5mm以下で拡がりが7mmを超えていない状態

Ib期

子宮頚部にがんが留まっているが、Ia1,Ia2期では無い場合

II期

がんが子宮頸部を越えて拡がるが、骨盤壁または、膣壁の下方部分1/3には達していない状態

III期

がんが骨盤壁まで達していて、がんと骨盤壁との間に隙間がない、または膣壁への浸潤が下方部分1/3を越える状態

IV期

がんが膀胱や直腸の粘膜に拡がっている、あるいは小骨盤腔を越えて肺のような遠隔臓器にがんの転移がある状態

 

【子宮頸がん(子宮頚癌)の治療−外科手術療法】

子宮頚がんの治療法は子宮を摘出する手術が中心となります。しかし、異形成や上皮内に限局するがん、 早期の子宮頸がんに対しては患者さんに妊娠・出産の希望がある場合には子宮を残した治療を行うこともできるようになってきました。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−円錐切除術>

子宮頚部を円錐状に切除する方法で、子宮頸癌の進行具合を調べるための検査としても行われます。切除した組織を顕微鏡を使って詳しく検査し、それ以上がんが拡がっていなければこの時点で治療は終わります。

しかし、0期またはIa1期であると考えて円錐切除術を行ったが実際にはIa2期以上だった子宮頸がんの場合には広汎子宮全摘出術が必要になります。

術後は妊娠できますが、頚部が切除されるため子宮口が広がりやすく流産の危険性が若干ですが高くなります。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−レーザー蒸散術>

上皮内がんに適応となる治療法で、がんにレーザーを照射して焼き殺す治療です。

妊娠・出産への影響が少ないのが利点ですが、がんは消滅してしまうため組織をとって調べることができないため浸潤が疑わしい場合には円錐切除術を選択するのが無難といえます。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−単純子宮全摘出術>

Ia1期までのごく初期の子宮頸癌の場合には子宮だけを摘出する単純子宮全摘出術が行われます。閉経後の人では卵巣も一緒にとる場合もあります。開腹して行う方法(腹式)と、膣から摘出を行う方法(膣式)がありますが、腹式の方が確実性が高いため通常は腹式となりますが、上皮内がんの場合には膣式で行われることもあります。膣式は傷跡が小さく、術後の開腹も早くなるメリットがあります。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−拡大子宮全摘出術>

Ia1期の子宮頸がんが適応になる手術で、子宮とともに周囲の組織や膣の一部などを切除します。骨盤内のリンパ節を切除することもあります。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−広汎子宮全摘出術>

Ia2、Ib、II期の子宮頚がんに適応される手術です。子宮とともに膣や卵巣、卵管など周囲の組織も広い範囲で切除します。がんがリンパ節にも転移している危険性が高いので骨盤内のリンパ節の切除も同時に行います。

<子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−骨盤内臓全摘出術>

がんが子宮頸部ばかりでなく女性性器外に拡がっていると、子宮・膣とともに下部結腸、直腸、膀胱も切除する必要が出てきます。これを骨盤内臓全摘術といいます。術後は人工肛門や尿路を再建する回腸導管、膣を再建する造膣術などの形成手術が必要となります。

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【子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−放射線療法】

放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。欧米では比較的早期の子宮頸がんに対しても放射線療法を行うことが主流になっていますが、日本ではIII〜IV期で手術ができない場合、または再発した場合などに行われることが一般的になっています。

放射線は体外から放射線を照射する外照射と子宮内に放射線源を入れて照射する腔内照射があり、組み合わせて行うこともあります。また、広汎子宮全的手術や骨盤内臓全的手術など大きな手術後にがんが残っている可能性があるため放射線療法が行われることがあります。

放射線の照射量には決まりがあり、無理をして大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため注意が必要です。

あらかじめ医師に照射量(一日の量と期間)を確認しておく必要があります。

【子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−化学療法(抗がん剤)】

子宮頸がんが遠隔転移などのために外科療法で切除しきれない場合や、手術後にがんが再発した場合には化学療法(抗がん剤)による治療を行います。

使用される抗がん剤としては「5FU+シスプラチン(他にランダ、ブリプラチン)」が一般的です。他に「塩酸ブレオマイシン=商品名:ブレオ」、マイトマイシンC、シスプラチン(他にランダ、ブリプラチン)」を組み合わせて使います。

【子宮頚がん(子宮頸癌)の治療−放射線化学療法】

この治療法は放射線療法と化学療法を同時に進めていく方法で、子宮頸がんに放射線療法を行う際に同時に白金製剤の抗がん剤を使うことによって治療成績がよくなるため米国ではこれらの療法を同時に行う放射線化学療法が推奨されています。

使用される抗がん剤としては「ネダプラチン=商品名:アクプラ」や「カルボプラチン=商品名:パラプラチン、カルボメルク」になります。

 

放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすいため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。 免疫力を賦活させることが大切です。

また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。

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