がん(癌)部位別情報

◆乳がん(乳癌)

乳がん(乳癌)にかかる日本人の数は年々増加しており、日本人女性では2000年に遂に胃がんを抜いて発生率第一位になりました。
一生のうちで乳がん(乳癌)になる人の割合(生涯疾患率)は4%であり、日本人女性の25人に一人が乳がん(乳癌)になるという計算になります。

因みにアメリカでは女性の8人に一人が乳がん(乳癌)にかかるという統計がある程で、クリントン大統領も乳癌早期発見のためにマンモグラフィー検診の必要性に言及しています。
アメリカでは1990年以降乳がん(乳癌)の死亡率は減少してきていますが、これはマンモグラフィーの普及による早期発見が大きく寄与しています。

乳がん(乳癌)というと女性だけの病気のように思われますが、乳がん(乳癌)は1/100程度の割合で男性にも発生する病気です。

欧米諸国と比較して日本人には乳がん(乳癌)が少ないとされてきましたが、最近の傾向として乳がん(乳癌)にかかる人は年々増加していますので、今後はさらに乳がん(乳癌)になる可能性が高くなると予想されています。

女性の乳房は、乳頭から乳管という管が枝分かれして伸び、葉っぱの形をした乳腺葉があります。
乳腺葉の先端が小葉です。乳管から小葉までを乳腺組織と呼んでいます。
乳がんのほとんど(90%程度)は乳管に出来、腺管がんと呼ばれます。
小葉に発生する乳がんは10%程度であり小葉がんと呼ばれます。

他に、炎症性乳がんと呼ばれ、しこりをつくらず乳房表面の皮膚が赤くなり、乳房の痛みや熱を伴うがんもごく稀に発生します。

【乳がん(乳癌)の原因】

乳がんは、乳管の組織が細胞分裂する時にDNAが傷つくことから発生します。
すなわち乳管組織の遺伝子を傷つける可能性のあるものが乳がんの原因になると考えられます。

エストロゲン(乳がんの原因)

女性ホルモンのエストロゲンが乳がん発生に大きく関与していることが分かっています。
エストロゲンの主な産生源は卵巣および副腎と脂肪組織になります。

脳の視床下部から放出される黄体形成放出ホルモン(LH-RH)が下垂体前葉を刺激し、性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌させます。
そして、これらのホルモンが卵巣を刺激してエストロゲンを分泌させます。一方、視床下部から放出される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRF)、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進し、副腎皮質からのアンドロゲン(男性ホルモン)が産生されます。
脂肪組織では副腎由来のアンドロゲンからアロマターゼという酵素の働きによってエストロゲンが産生されます。

閉経前(乳がんの原因/エストロゲン)

卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンは卵巣からの分泌が10歳前後になって始まり、乳管の細胞分裂を促す作用があります。
エストロゲンはがんの促進もするため、エストロゲンが乳腺組織に作用する期間が長いほど乳がん(乳癌)の発生率が高くなることが知られています。

現代の日本女性は、食生活の欧米化によって発育も体格もよくなりました。
そのため初経が昔より早く、逆に閉経は遅くなっています。
また出産の機会も減りました。これらはエストロゲンにさらされる期間が長くなったことを意味します。
こうした背景から、乳がん(乳癌)が発病しやすくなったと考えられています。

閉経後(乳がんの原因/エストロゲン)

閉経後は卵巣に代わって、副腎から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモンが脂肪組織に豊富に含まれるアロマターゼという酵素の働きによりエストロゲンに変換されてしまいます。
そのため閉経後は肥満であることが乳がん(乳癌)発生のリスクを高めることになります。

また肥満である女性は、食生活が脂っこいものが好きであったり、動物性たんぱく質、脂質が好きであったり、甘いものが好きである場合が多く、食生活が欧米女性に近いということも乳がん発生のリスクを高めているといえるでしょう。

<初産年齢の高齢化・出産回数の減少(乳がんの原因)>

妊娠中はホルモンの環境が大きくかわり、乳がん(乳癌)の発生を抑える方向に作用すると言われていますが、最近は初産年齢の高齢化が進み、乳がんの発生が始まる若年期に出産を経験しない女性が多くなってきています。
また子供を産まない、出産回数の少ないという女性も増加しています。
これらがエストロゲンの作用期間を長くして乳がん(乳癌)発生のリスクを高めていると考えられています。

初産が30歳以上である、授乳経験がないなどは乳がん(乳癌)のリスクを高めます。

<ストレス(乳がんの原因)>

統計的な数値はありませんが、ストレスは乳がん(乳癌)発生のリスクを高めるといわれています。
実際弊社で相談を受ける乳がん(乳癌)の患者さんはストレスを感じている方が多く、責任感が強くまじめで、どちらかというと神経質なタイプの方が多いようです。

責任ある立場に就いて仕事をしている方、まじめで物事を大雑把に考えることが苦手な方、細かいことに気がつく方は知らず知らずのうちにストレスが溜まることが多いため、乳がん発生の原因の一つであるストレスを軽減するためにも、息抜きをすると良いでしょう。

乳がん予防のためにも適度な運動をすることでストレスの解消をすることをお勧めします。

<遺伝(乳がんの原因)>

乳がん(乳癌)を引き起こす要因として遺伝も関連が深いと考えられています。
三親等以内の家族・親戚に乳がん(乳癌)の既往歴があると、乳がん(乳癌)発生のリスクは一般の人に比べて高くなります。

ただし、本当の意味での遺伝性の乳がん(乳がんにかかりやすい特定の遺伝子が親から子へ引き継がれる)はごくわずかで、多くは、体質や食生活などが似ている影響かと思われます。

いずれにせよ、乳がんの家族や親戚に乳がんの人が多い場合は、特に若いうちから自分の乳房に注意して、乳がん検診も積極的にうけておいた方が良いでしょう。

 

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【乳がんの症状】

乳がんは「乳房のしこり」が認められたことで患者さんが受診して発見されるケースがほとんど(90%程度)です。
そのうち10〜15%程の方は痛みを伴うことがありますが、多くの場合乳がんは痛みは伴いません。

乳がんが皮膚近くの乳腺組織にできた場合には、早期のうちから皮膚にくぼみやひきつれが見られることがあります。
また乳頭の真下にがんが発生したり、がんで乳腺がひきつれを起こすと乳頭がくぼむ(陥凹といいます)こともあります。

また乳頭から血液の混じった分泌物が乳頭のうち乳管開口部の1箇所からでる乳頭異常分泌があることが稀にあります。

さらにはわきの下のリンパ節が腫れたり、パジェットといって乳首がただれる場合もあります。

乳がんは骨に転移しやすいがんです。
骨に転移した場合肩や背中、腰の痛みが出ることが多いので原因不明の痛みが続いた場合は要注意です。

他には肺やリンパ節、肝臓などにも転移します。

乳がんが肺に転移した場合には息が苦しくなったり、咳き込んだりします。
首やわきの下のリンパ節に転移するとグリグリとしたシコリができることがあります。
乳がんが肝臓に転移すると背中や腹部が張ったり痛くなったり、食欲不振になったり黄疸がでることがあります。

触ってみて痛みはないが以前はなかった「しこり」が確認される場合や乳頭がへこんだり、片側の乳房が異常に腫れたり、原因不明の分泌物が続いたり、乳房の表面が赤く変色したりわきの下にしこりが確認できた場合には乳がんの専門医である乳腺外科を受診することをお勧めいたします。

 

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【乳がん(乳癌)の診断】

乳がんは早期発見・早期治療により克服できる可能性は高くなりますので、普段から乳房の自己検診を行うことを習慣付けるとよいでしょう。
大切なことは、定期的に自分の乳房を触って自分自身の正常な乳房を把握しておくことと、異常に気づいたら、自分で癌か否かを判断するのではなく、必ず検査を受けに行くことです。

日本では1987年に乳がん(乳癌)検診が開始されましたが、現在でも視診・触診が検査の中心でマンモグラフィーというエックス線撮影を併用した乳がん検診は一部の地域、一部の施設でしか受けることができないのが現状です。

マンモグラフィーは乳腺専用のX線撮影装置で、乳房を圧迫して薄く平らにしながら撮影するレントゲン検査で、2000年からは日本でも50歳以上の女性の検診で使うことが勧められています。
マンモグラフィーは乳がん(乳癌)の早期発見に大いに役立つ検査です。

欧米では早いうちからマンモグラフィを併用した検診が一般的でした。
これは、視触診のみの検診では、検診をうけた人と普通に外来を受診して乳がん(乳癌)をみつけた人とで、死亡率が変わらないという結果が出たからです。

検診の触診は、必ずしも乳がん(乳癌)の触診に慣れてはいない医師が、千差万別の多数の女性の乳房を短時間に診るため、微妙な病変や小さなしこりを漏れなく見つけるには十分な精度とはいえませんし、しこりとして触れない0期の乳がんを見つけることはできません。
これらを補うのがマンモグラフィで、ごく小さな乳腺組織の変化やシコリを作る前の段階の石灰化でみつかる非浸潤癌の乳がんを見つけることができるなど、乳がんの早期発見に大いに役立ちます。

その他乳がん(乳癌)の大切な検査としては超音波エコー検査、細胞診があり、乳房にシコリを触れる場合は、視触診→マンモグラフィと超音波→細胞診の順にこれら4つを全て行うことが原則となります。

これらの検査を行っても診断がつかない場合には生検が必要となります。

<超音波エコー検査>は皮膚にゼリーを塗ってプローブ(探触子)をあてて内部を観察する検査で、婦人科で行う超音波検査と同様の方法ですが、乳腺の場合には、体の表面の浅いところを見る専用のプローブを使います。

手軽に乳がん(乳癌)の検査でき、数ミリの小さなしこりをみつけたり、しこりの中が詳しくわかるのが特徴で、若い人では、マンモグラフィよりも診断しやすい場合があります。

<穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)>は細い注射針を皮膚の上から刺して、病巣部の細胞を吸引し、細胞が癌か良性かを顕微鏡で調べる方法です。
細胞が十分とれればかなり正確に診断がつきますが、細胞だけでは乳がん(乳癌)かどうか微妙な場合や、細胞がうまくとれない場合には、少し太い針を刺してしこりの組織を採取し顕微鏡で調べる針生検が行われます。
細胞診標本のでき具合が診断精度の指標の一つとなるたります。
医師のわきに技師がいて、その場ですぐ標本を作るかどうかで精度がかなり違ってきます。

他に手術で乳房を切開してしこりの一部を摘出し顕微鏡で組織を観察して、最終的な診断することもあります。(外科生検)

針生検や外科生検はあくまで視診・触診・マンモグラフィー・超音波、穿刺吸引細胞診を十分に行った後にやるべき検査であり、仮にしこりを触れるからといって他の検査を行わずにこれらの検査を行おうとする病院・医師であった場合には病院を変えて他の信頼できる施設で検査をしっかりとしてもらうべきです。

乳がん(乳癌)が確定された場合には転移の有無について骨や脳、肝臓、肺、リンパ節などの検査を行います。

−乳房の自己検診−

閉経前の女性は月経がきて7日目に乳がん(乳癌)の検査をします。
閉経後の女性は毎月決まった日に検査します。
以下に検査方法を記載しますので参考にしてください。

入浴前に鏡に向かい右手を上げ後頭部におく。
右乳房の色、形及び乳頭から分泌物がないか、変わったところはないかを観察する。
続いて左手に変え左乳房を同様に観察する。
その後、両手を下ろし両乳房の相違を観察します。

入浴時に身体を濡らし乳房を暖める。
そして左手を後頭部に置き右手の真ん中3本の指を合わせて乳頭を中心にゆっくりと内側から外側へ時計回りの方向へ動かし触ってみて固まりや小さなしこりがないかを確認する。
その後、反対の手に変え、もう一度同じように確かめる。最後に乳頭をつまみ分泌物があるかを確認する。

入浴後、枕を背中に敷きまっすぐ横になった後左手を後頭部に置き、右手で左の乳房を触り輪を描きながら順を追って進めていく。
この時、わきの下と乳房の上も行うこと。
終わったら反対側も同様にいます。

 

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【乳がん(乳癌)の治療】

<治療方法を決めるにあたり>

乳がん(乳癌)の治療は、医師の協力の下で治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分にうけ、患者さんが自分の価値観などを考慮し患者さんが最終的な治療方法を最終的に決定する時代になりつつあります。

また医療の進歩とともに治療方法も多様化してきており、医師によって治療方法が異なることは珍しくなく、主治医以外の医師の意見を聞くセカンド・オピニオンを求めることが必要な時代になってきました。

詳しくは「インフォームド・コンセント」「セカンド・オピニオン」についてをご覧下さい。


乳がん(乳癌)の治療には、外科療法(手術)、薬物療法(ホルモン療法・抗がん剤)、放射線療法があり、乳がんのある場所、進み具合(病期:ステージ。下記表参照)、患者さんの体力、健康状態などから判断して治療法が選択されます。

−TMN分類−

リンパ節転移がないN0

可動的なリンパ節転移があるN1

固定したリンパ節転移があるN2

鎖骨リンパ節転移があるN3

がんの大きさが2cm以下T1

I期 IIA期 IIIA期 IIIC期

がんの大きさが2cm−5cm以下T2

IIA期 IIB期 IIIA期 IIIC期

乳がんの大きさが5cm以上T3

IIB期 IIIA期 IIIA期 IIIC期

胸壁浸潤、皮膚浸潤、炎症性乳がんT4

IIIB期 IIIB期 IIIB期 IIIC期

肝臓や肺、腹膜などに遠隔転移がある

IV期 IV期 IV期 IV期

非浸潤性乳管がん、非浸潤性小葉がん、Paget病の場合はステージ0期。

【外科療法】(乳がんの治療)

外科療法(手術)は、乳房にできたがんを切除するために行います。
がん組織を含めた周りの正常組織を同時に切除しますが、切除される正常組織の範囲は乳がん(乳癌)の病期により異なります。
一般的には、早い時期に見つかった乳がん(乳癌)ほど狭い範囲の正常組織を切除するだけで済みます。
乳がん(乳癌)の切除と同時に、わきの下のリンパ節も切除されます。
これは乳がん(乳癌)の拡がりを検査し、術後の補助療法の必要性を決めたり、再発の可能性を予測するために行うものです。
乳がん(乳癌)の手術には、次のような方法があります。

【乳がんの手術−乳房温存療法】(乳がんの治療/外科療法)

かつては、乳がんができた乳房全体を切除するのが基本でしたが、現在はしこりの大きさによっては乳房温存療法が行われるようになりました。

乳がんにおける乳房温存療法は、乳房の一部とリンパ節をとり、乳房のふくらみや乳首を残す方法で、乳房扇状部分切除術と乳房円状部分切除術とがあります。

乳がんの外科療法で乳房温存ができる条件は、通常、しこりが1個だけで3cm以下、検査で癌が乳管の中を広がっていない、放射線があてられる、患者さん自身が温存を希望する、などです。
早期の癌でも乳管の中の癌の広がりが広ければ、温存できない場合もあります。

<乳房円状部分切除術>は乳がん(乳癌)を中心として周囲1.5cmほどの範囲を、正常な乳腺組織も含めて円状に切除する方法です。
併せてわきの下のリンパ節も切除します。
この手術は、乳がん(乳癌)の大きさが小さく、乳房が大きい場合に適しています。
メリットは傷跡がほとんど残らないということにあります。

<乳房扇状部分切除術>は乳がん(乳癌)が比較的大きい場合に行われます。
乳頭を頂点として、乳がんと乳腺組織を扇状に切除します。
乳腺組織の切除する量が多いと乳房が陥没したり、形や大きさが変わることがあります。

この場合残った乳腺組織と皮下脂肪を寄せ合わせて乳腺移行術を行うか、変形が大きい場合には乳房再建術が行われることもあります。

乳房温存療法の場合は、がんを切除しても微細ながん細胞が残っている可能性があるため、乳がんの再発を防ぐ目的で放射線療法が併用されます。

乳がんの大きさが3cmより大きい場合には手術前に薬物療法(抗がん剤やホルモン剤)を行いがんを縮小させてから手術が行われることがあります。
薬物療法によりがんが縮小した場合には切除範囲が小さくてすむため術後の乳房の変形なども少なくてすむメリットがあります。

ただし、ちいさながんに対する術前化学療法が生存率の向上につながるかは現在研究中であり結論は出ていません。
したがって、乳房温存療法が可能である条件が整っている場合にあえて術前の薬物療法をする必要はないと考えられます。

術前に抗がん剤などを勧められた場合には、どのような目的で行う必要があるのか十分に説明を受けるようにしたほうがよろしいと思います。

【乳がんの手術−乳房切除術】(乳がんの治療/外科療法)

<胸筋合併乳房切除術(ハルステッド法)>

乳房と胸の筋肉、わきの下のリンパ節を切除します。
かつてはこの手術方法が標準的手術方法として実施されてきましたが、現在では乳がん(乳癌)が胸の筋肉に達している場合だけ行われます。

<胸筋温存乳房切除術>は乳房とリンパ節を切除して胸筋を残します。
現在の日本の乳がん手術の半分強を占め、通常「乳房切除」という時にはこの術式をさすのが普通です。
胸筋を残すため「腕の腫れ」「しびれ」「胸の痛み」などの術後の後遺症が軽くなります。
胸の変形もハルステッド法に比較して小さく、乳房が失われても筋肉が残るので胸が大きくえぐれることはなく、下着で補正して服を着れば外からは全くわかりません。

乳房再建術により乳房の形を作ることも可能です。

乳がんの場合、リンパ節転移の有無は術前検査では正確に分からないため、乳がんの手術では乳房温存療法でも乳房切除術でもわきの下のリンパ節を一塊に採る(郭清する)ことが標準的です。

これは乳癌の場合、目に見えない微細ながん細胞が既にリンパ節転移している可能性があることや術後の再発予防の治療法を決定するのに必要だからです。

しかし、リンパ節への転移が全く無かった場合、リンパ節を取ることは無意味であり、患者さんの負担や腕のむくみなどの後遺症を考慮した場合はできるだけリンパ節の切除範囲を小さくしたほうが望ましいといえます。

そこで、最近は、センチネルリンパ節生検といって、癌のまわりに色素や放射性物質を注射して、それがながれついたリンパ節を、癌が最初に転移するリンパ節(「センチネル=見張りリンパ節」)と考えて、そのリンパ節に転移があるかを手術中に調べて転移があった時だけ郭清しよう、という試みも行われています。

 

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【乳がんの治療−放射線療法】

放射線療法は高エネルギーの放射線を使ってがん細胞を殺す治療方法です。
放射線療法は局所療法(体の一部にだけ有効)であるため適応となるのは乳がんの大きさが小さく、腫瘍が一部分に限局されている場合がおおくなります。

乳房温存療法が行われた場合には、術後補助療法として放射線療法を行うことが標準的です。

正常な細胞に放射線が照射されると正常な細胞がダメージを受け副作用が出ることがあります。
副作用には治療中又は治療直後にでるものと、半年〜数年後にでてくるものとがあります。

放射線の照射量には決まりがあり、無理をして大量の放射線照射を行うと強い副作用が出る可能性が高いため乳がんの治療では注意が必要です。

 

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【乳がんの治療−薬物療法(ホルモン療法)】

およそ6割の乳がんはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンによってがん細胞が増殖するホルモン感受性の乳がんです。

乳がん(乳癌)のがん組織を調べ、ホルモン感受性があると診断された場合には、女性ホルモン(エストロゲン)が乳がんを増殖させる機構を、何らかの形でブロックします。
副作用が比較的少なく、長期間使えるのが特徴です。

乳がんの治療に用いるホルモン剤にはいくつかの種類があります。

1つ目はエストロゲンが受容体に結合することを防ぎ乳がん細胞の増殖を抑える働きをする抗エストロゲン剤(エストロゲンが癌に働くのをブロックする=タモキシフェン、トレミフェンなど)と呼ばれるものです。
乳が治療ではこのホルモン剤を長期間使用することになりますが、長期使用により子宮体がんのリスクが若干高くなるという報告もあるため子宮体がんの定期検査をする必要があります。

タモキシフェンにはアドパン錠、エマルック錠、ソシゲーン錠、タスオミン錠、ノルキシフェン錠、ノルバデックス錠、パンリーフ錠、フェノルルン錠、レスポール錠などがあります。
また、トレミフェンにはフェアストンがあります。

もう一つは卵巣機能をストップさせ、エストロゲンの分泌を抑える薬でLH-RHアゴニスト(閉経前、卵巣からの女性ホルモンをストップさせて一時的に閉経後の状態にする=ゾラデックス、リュープリンなど)と呼ばれるものがあります。
乳がん治療でこのホルモン剤を用いると更年期障害に似た「ほてり、発汗、冷え」などの症状が現れます。

 

さらに閉経後の女性に対しては、アロマターゼ阻害剤(閉経後、脂肪でエストロゲンをつくる酵素をブロックする=アフェマ、アリミデックスなど)と呼ばれるアロマターゼ活性を抑えてエストロゲンの産生をとめるタイプのホルモン剤もあります。

さらに、エストロゲンを抑える働きをするプロゲステロンというホルモンを使った合成プロゲステロン製剤(ヒスロンH、プロゲストン錠)などの種類があり、乳がん治療では年々新しい薬が開発されています。

 

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【乳がんの治療−薬物療法(抗がん剤療法)】

ホルモン感受性のない乳がん患者さんには抗がん剤療法が行われます。
ホルモン感受性のある患者さんの場合でも、再発の確率が高いと判断された場合にはホルモン療法に加えて抗がん剤治療が併用されることもあります。

さらに乳がんが進行していて遠隔転移があり手術ができない場合にも抗がん剤療法が使われることがあります。

CMF療法…C(シクロホスファミド=エンドキサン)M(メソトレキセート)F(フルオロウラシル=5FU)の3剤を組み合わせる方法で、以前から行われていた術後の補助療法です。
現在は主に、リンパ節転移のない乳がんの場合に選択されます。

CAF療法…C(シクロホスファミド=エンドキサン)A(アドリアシン)F(フルオロウラシル=5FU)の組み合わせで、Fを抜かした2剤が用いられることもあります。
乳がんでリンパ節転移のある場合の術後補助療法や、再発の治療として最も標準的な治療法です。

タキサン系の薬剤…比較的新しい薬で、ドセタキセル=タキソテール、パクリタキセル=タキソールがあります。
アドリアシンなど他の薬と組み合わせて使われることもあります。

「HER2/neu」という特定の遺伝子が異常に働いて発生する乳がんに対して、その遺伝子の抗体を薬として点滴で投与することでがんの増殖を抑える治療で、トラスツズマブ=ハーセプチンという薬が、日本でも2001年から使えるようになりました。

切除した癌を検査することで、効果が期待できる癌とそうでない癌がわかるのが特徴で、「癌の個性に応じて、効果が期待できる薬を選んで使う」という、いわばオーダーメイドの治療として期待されています。
脳腫瘍の発生が確率が増えるといおう発表もあります。

 

放射線療法や抗がん剤を用いた化学療法では白血球減少による免疫力の低下が起こりやすいため体を清潔に保つことが大切ですし、規則正しい生活を送る必要があります。
免疫力を賦活させることが大切
です。

また、骨髄損傷による白血球減少、血小板減少、貧血などが起こりやすいため造血機能を強化することも大切になります。

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